第18話 罠
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の人形は、腰から刀を取り出すと黒い影の頭を飛ばした。
ゴロゴロと生々しく黒いインクを零したような血を傷口からダラダラと流しながら首は転がり、佐天と人形を見つめ、苦しそうに擦れ声を出す。
キサマ
よくも邪魔をしたな
これで終わると思うな
かなら......
人形が先に動いて黒い影の頭に刀を突き立てて止めを刺した。
造形が崩れ出して、暗い床へと吸い込まれて消えてしまった。
倒れている佐天の目の前に黒い髪を垂らした女性の人形が手を広げて立たせた。
血色が良くなって、マジマジと助けてくれた人形を物珍しそうに見る。
「あのー、ありがとうございました」
助けてくれたんだし、お礼を言っておかないと
しかし黒髪の女性の人形は悲しげにキィキィと音を出している。
そして佐天の肩を掴むと訴えるように口を開閉した。
涙は枯れ、声は枯れてもなお、何かを叫んでいるように必死な顔をしている。
女性の人形はうまく動かない顎を動かしながら眼をギョロギョロ動かしゆっくり一文字一文字を絞り出すように言う。
オネガイ
タスケテアゲテ
サソリ
ヤサシイコ
オネガイ
タスケテアゲ
喉の奥でモノが詰まっているようにくぐもった声で佐天に懇願している。
更に
サソリ
ゴメンネ
ゴメンネ
イッショニイテアゲラレナクテ
サソリ
サソリ
......カワイイ......ワタシノコ......
「えっ!?子?」
ガシャンとその場で人形は関節全部無視したように崩れ落ちた。
これってサソリのお母さん?
何で?
もう亡くなっているの?
何で人形なの?
不明点が多すぎて、逆に動きが取れない。
サソリを助ける?
あたしに助けられるのかしら
すると倒れた母親の人形の近くに小さな赤い髪をした子供が居て、女性の人形の手をら自分の頭に押し当てた。
自分で頭を撫でて貰っている。
サソリの眼から涙が落ちていく。
「お母さん、帰ってきてよ......一杯待ったよ......頑張ったよ」
戻らぬ愛情を欲するサソリ。
佐天はそんな光景に胸が締め付けられる想いだった。
サソリ......
******
「ちゃんと考えてろよ!」
「佐天や初春だけじゃなく、白井やオレまで危険に晒すつもりか」
御坂は、悔しそうに唇を噛み締めながら道を歩いていた。
何よ!
何なのよ!
サソリのあの態度!
全て分かったような感じで。
でも反論出来なかった。
何も言い返せないに等しかった。
全て具体性が伴わない、「大丈夫」等の抽象的な言葉だった。
それは事実。
あたしはレベル1から努力でここまで来たのよ。
強くなったら、人を助けられるなら助けたいじゃない。
切り替えなきゃ
サソリに怒
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