10部分:第十章
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を完全に幸せにできる」
こう断言するのであった。
「完全にな。そして」
「そして?」
「完全なテキ屋にもなれる」
家業も話に出してきた。
「わかったな。それではだ」
「稽古ですか」
「鍛錬とも言う。毎日やるぞ」
「毎日ですね」
「嫌か?」
ジロリと彰人を見て問うてきた。
「毎日の稽古は。嫌か?」
「いえ」
健一の問いににこりと笑って返す彰人だった。なお既に彼の家族に今日からはこの家に住むことになったと言われている。これまた強引にだ。
「是非。御願いします」
「よし」
彼のその言葉を聞いて満足気に頷く健一だった。
「それでこそ俺の弟だ」
「弟ですか」
「御前は日和の伴侶になった」
その伴侶になったというのもつい昨日のことである。
「ならばだ。日和を護る為にだ」
「武道もですね」
「わかったな。ではな」
「はい、やります」
「すぐに着替えろ」
あらためて彼に言う。
「着替えて。ランニングからやるぞ」
「毎日ですね」
「日和もやっているがな」
「日和さんもですか」
「自分の身は自分で護る」
話が先程とは完全に矛盾しているがそんなことに構う健一ではない。
「だからあいつにも教えておいた」
「そうだったんですか」
「そして小僧」
ここまで話して彰人を再び見る。
「御前もまた。その日和を生涯護る為にだ」
「はい、武道を」
「身に着けろ。そしてそのうえで完璧なテキ屋になれ!」
「わかりました!」
彰人もまたその言葉に応える。こうして彼等は修行に入るのだった。日和の為に。
馬鹿兄貴 完
2008・12・18
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