第六話 ポールシフト
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決めておこう。
すぐに思いつく安全な場所って言ったら、とりあえず寝室のベッドか…
すると不意に、武井が強い力で抱きついてきた。
後ろに居るのはわかっていたはずなのに、
百香は思わず「きゃー」と叫んでその場にしゃがみこんでしまった。
おでこに手を当てるのも忘れ「いやだもぉー!」すっかりパニクっている。
「ほら、早く飛ばして!」
「あ、そっか。んもぉーー、トンデケーー!!」
叫んだ瞬間、体の圧迫感がすっと消え、直後にどこかで、
「ばしゃーん」大きな水音がした。
うん? バスルーム? 間もなく洗面所から
武井が全身びしょ濡れで現れた。
サングラスが斜めにずれ落ちそうになっている。
百香は慌てて洗面所へ駆け込み、バスタオルを手に戻ってきた。
手渡されたタオルで顔を拭きながら、
「圷さん… だめですよ叫んじゃ。それにおでこを撫でるのも忘れたでしょ。
あれをしないと感情に飲まれて、力が安定しないんですよ。」
「ごめんなさい。寝室のベッドへ飛ばすつもりだったのに…」
「ふっ、まあ最初はこんなもんでしょ。じゃ、もう一度。」
「ええ? まだ続けるんですか?」
「もちろん! 何度でも付き合いますよ。
その前に、ちょっと家で着替えて来ます。」
そういうと音もなく、目の前から武井の姿が消えた。
テーブルに置き忘れていった方位磁石の針が、
狂ったようにぐるぐると回転している。
百香はすっかりくたびれていた。
武井の荒唐無稽とも思える話しを無理やり頭にねじ込まれ
引き続き、今度はいきなりの実践訓練である。
「今日はもういいよ、お腹いっぱい。」
百香はうんざりして体をソファに投げ出した。
それを横目に、摩周は床に落ちた水滴を
丹念にペロペロと舐め続けていた。
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