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藤崎京之介怪異譚
外伝「鈍色のキャンパス」
W.Passacaglia
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きことが見えた。
「俺、ちょっと宮下教授のとこ行ってくる。」
「おいおい…本気か?」
 小林と鈴木が目を丸くしてる。その横で、河内は見透かしたような笑みを浮かべて見ているだけだった。ま、河内とは小学以来からの付き合いだからな。考えが読まれて当然か…。
 俺はそんな三人を残し、そのまま宮下教授のところへと向かった。ただ、今は笹岡のこともあるし、何かと慌ただしいとは思うが…。
 俺は中央棟に入ると、先ずは宮下教授を探した。今日は朝からいらしてる筈だから、今は恐らく樋口教授と一緒だ。今頃は笹岡について話しているだろう。
「お早う。今日は早くから来てたのかね。」
 俺があれこれ考えながら歩いていると、そこへ探している筈の宮下教授が声を掛けてきた。
「お早うございます。」
 平静を装って俺は挨拶を返した。正直、このタイミングで会うとは考えていなかった。
「宮下教授。今、丁度お探ししていたところです。」
「ん?何か用があるのかね?」
 俺はそう問われ、宮下教授へと田邊という少年の手紙を見せた。そうして後、俺はこの少年の願いを叶えたい旨を伝えると、宮下教授は二つ返事でそれを承知してくれたのだった。
「良いことじゃないか。君自身で案内するのならば、どこを見学させても構わんよ。折角じゃ、音楽の善さを存分に伝えてやるんじゃぞ。」
「はい。有り難う御座います。」
 了承を貰った俺は頭を下げて立ち去ろうとしたが、それを宮下教授が止めた。
「藤崎君…君も既に知っとるんじゃろ?」
 その問い掛けは、直ぐに笹岡のことを言っているのだと解った。
「はい…彼のことですね。」
「そうじゃ。先程も皆でどうしたものか話し合っていたんじゃが、彼の母は現在イタリアに行っとるし、日本で面倒を見とる叔父は仕事で北海道へ出張しとってな。」
 宮下教授の話しを聞き、俺は疑問を感じた。そのため、俺は宮下教授へと質問したのだった。
「では、誰が彼の失踪を?誰かが彼の様子を見に行ったから、彼の行方が分からないことが判明したんですよね?」
 そう問うと、宮下教授はそれに答えて言った。
「そうじゃ。実は彼の母の友人で八百板という人物がおる。」
「八百板って…まさかチェンバリストのですか?」
「ほぅ、知っとったか。」
「教授…僕に一回だけその方のレッスンを受けさせたじゃないですか…。」
 俺が苦笑混じりに答えると、宮下教授は思い出したように言った。
「そうじゃったな…。ま、それはよいとして、彼が様子を見に行ったんじゃよ。丁度こっちに来とったから、たまには会っておきたかったんじゃろう。じゃが行って見ると、郵便受けには手紙や新聞がそのままで、何度呼んでも返事がない。その為、彼は大家に連絡し、大家は警察へと通報したんじゃ。一度は中で倒れてたら大変と八百板と大家とで入ってみ
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