暁 〜小説投稿サイト〜
馬鹿兄貴
1部分:第一章
[2/2]

[9] 最初 [2]次話
。少なくともそう感じるのは彼女だけではないのだが健一の目にも耳にも入らない。
「だから。皆とちょっと遊んだだけなのに」
「何処に誰がいるかわからない」
 まだ言う健一だった。
「だからだ。殺っておく、御前に何かある前にな」
 こうして彼は翌日即座に行動に移したのだった。何とその戸塚工業にバイクで鉄パイプを手に殴り込みをかけたのである。
「妹に手を出す奴は誰だ!」
「げっ、氷山の飛鳥!」
「何で奴が!」
 既に彼の悪名は県単位なのであった。だから戸塚工業の者達も彼の名前と顔を把握していたのである。
「答えろ!妹に何かしようと考えてる奴は何処だ!」
「何処だって何言ってんだあいつ!」
「また妹さんのことで何か暴れてるのかよ!」
 彼にとっては妹に何かあってからではなく何かありそうなのが問題なのである。だからこそ今回もこの行動に出ているというわけだ。
「答えろ!さもないと貴様等全員殺す!」
「殺す!?あいついかれてるのかよ!」
「マジでそうなんだよあいつは!」
 これが世間での彼の評価であった。
「逃げろ!マジで殺されるぞ!」
「何であんな奴が世の中にいるんだ!」
「知るかよ、そんなこと!」
「出て来い!」
 バイクに乗りそのまま校舎の中を駆け回る。
「出て来ないとこの学校を跡形もなく破壊してやるぞ!」
 こう騒ぎ回って暴れ回り側にいる適当な人間を投げ飛ばし殴り倒し目に入るものを粉々にしていく。まさに人間台風といった有様である。
 しかしその大暴れも終わる時が来た。体育館で逃げ惑う生徒達を追い回す彼の前に戸塚工業とはまた違う制服の女の子が出て来たのだ。それは。
「日和!?」
「どうせこんなことだろうと思ったわよ」
 青のブレザーにミニスカート、赤のネクタイに白いソックスといった格好の日和がむっとした顔で兄の前に両手を腰に当てて立っていた。
「全く。何やってるのよ」
「何って!?決まっているだろう」
 健一は日和の前でバイクを止めてから妹に答えた。

[9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ