last case.「永遠の想い」
Y 同日 PM2:45
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器の心配はない。後はどう人員を組むかだな。」
宣仁叔父がそう言うと、皆が俺へと視線を向けた。
暫く考えていると、扉の前に多くの聖職者が集まってきた。ヴィクトール牧師とドミニク神父の仲間だ。
俺はそこで人数を確認し、各楽器群を分けて並んでもらった。皆一様に不思議そうな表情をしていたが、ヴィクトール牧師もドミニク神父も俺に従うよう言ってくれたため、それは難なく遂行出来た。
「京兄、僕も遣るよ。フルートなら持ってきてるし、讃美歌もよく演奏してたから。」
「綾、お前は…」
「大丈夫だよ。僕も藤崎家の一員だし、僕だけこんな部屋で一人なんて嫌だもん。奏夜兄は?」
綾に言われ、奏夜は苦笑混じりに言った。
「俺だってこんなとこに一人はゴメンだね。確か西の礼拝堂にチェンバロがあったろ?俺はそこで演奏する。楽譜はあるんだろ?」
奏夜は振り返って宣仁叔父に聞いた。
「大抵はある。」
宣仁叔父はそう一言だけ答えた。
その後、俺は人員を各部屋へ振り分け、基本は復活祭の音楽であることと、開始は四時からだと告げて散会させた。
部屋と廊下に溢れていた人々は、それぞれの役割を果たすために散らばった。全員がここに集まっていたということは、あの屍共は一掃されたと言うこと。だが…これからが本番なのだ。
「叔父様、お願いします。」
最後に残っていた宣仁叔父に、俺はそう声を掛けた。
「分かっている。お前は…待つのだな?」
「はい。」
俺がそう返すと、宣仁叔父は静かに頷き、そして部屋を出ていったのだった。
そして、日の陰り始めたその部屋には、俺一人だけが残された。床には未だ屍が転がり、紅い夕陽に染まっていた。そこから落ちる影は色濃く、何故かそれが心の闇の様に感じた。
だが…彼らには悪いが、今はそこで我慢していてほしい。
俺はただ、待たなくてはならないからだ…。
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