last case.「永遠の想い」
Y 同日 PM2:45
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二重三重になっており、中に入ってきた屍達はしだいに力を失っていっているようだ。
「叔父様。今、音楽を…主に声楽が出来る方は、どれ程いますか?」
「そうだな…司祭は全員歌えはするが、器楽が足りん。どうするつもりだ?」
「この中央大聖堂は叔父様にお任せしますが、出来ればオラトリオ位の大曲が欲しいところです。ですが状況が状況ですので…。」
俺がそこまで言った時、不意に部屋へと一人の男性が入ってきた。
「いやぁ、あんなもん見たのは久しぶりじゃ。」
男性…と言ってもかなりのご高齢で、その男性を見るなりドミニク神父が口を開いた。
「ヴィクトール牧師、よく御無事で。」
「あんなもん、敵にもならんわい。ありゃ子供騙しじゃから、これからが本場と言えるの。」
「子供騙し…ですか?」
話を聞くと、どうやらヴィクトール牧師は以前にも似たような体験をしたようだ。どんな体験かは聞く気がしないが…。
「あれは人そのものに傷をつけられん。単に人間をパニックに陥れるためのパフォーマンスじゃな。」
ヴィクトール牧師がそう話した時、外から再び一体の屍が入ってきたため、ヴィクトール牧師はそれに向かって言い放った。
「速やかに立ち去れ!」
その一言で、それはただの屍となって床に転がったのだった。
この人物は信仰心が強いのだろうと思う。伊達に歳をとっている訳ではないようだ。
「さて、来て早々申し訳ないが、他の牧師達も二十人ほど一緒なんじゃ。今は人形共を払わせておるが、暫くしたら集まるじゃろう。何かの役に立つかの?」
ヴィクトール牧師がそう言うや、ドミニク神父もそれに続けて言った。
「そうそう。私の教区に連なる教会からも十二人来ます。それぞれ音楽は何かしら習得しておりますので、是非お手伝いさせて頂きたい。」
あぁ…それを早く言って欲しかった…。いや、そんなことを考えてる場合じゃないな。
二人が言った人数とこの大聖堂にいる司祭達を合わせると、約六十人にはなる。オラトリオも演奏出来る人数にはなったが、器楽奏者がどれだけいるかが問題…。
「何か問題でもおありかな?」
考え込む俺に、ヴィクトール牧師が問った。すると、ヴィクトール牧師は笑みを見せて言った。
「復活祭オラトリオをやるのか。確か…トランペットもティンパニも、この大聖堂にはあったはず。奏者であれば、これから来る牧師が演奏出来る。何ら問題ない。木管じゃったら、ドミニク神父、お前さんの連れにいたじゃろ?」
「はい。オーボエ、フルート、リコーダー、ファゴット、あとはそれらに関わる楽器も操れる者達が七人。弦楽が少々厳しいですが…。」
ヴィクトール牧師とドミニク神父がそう言うと、今度は宣仁叔父が口を開いた。
「弦楽であれば、ここの司祭等が得意としとる。まぁ、管弦楽器は大半揃えてあるゆえ、楽
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