last case.「永遠の想い」
Y 同日 PM2:45
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。まぁ…近くまで行こうとは思わないので、飽くまでそんな風に見えるだけだが…。
まるでホラー映画の中にでも紛れ込んだ感じだが、これは現実。映画の比ではない。だが、宣仁叔父が再びそれに聖句を紡ぐと、それはカタンと音を立てて床へと崩れ落ちた。
「全く…どうしてこうも…」
そう言って宣仁叔父が廊下へ出ようとしたとき、宣仁叔父はふとその動きを止めた。
「どうされましたか?」
不思議に思って宣仁叔父のところへ歩み寄ろうとした時、どこからともなく強烈な腐敗臭が漂ってきた。それは段々と強くなり、皆が身構えながらどこから臭ってきているのかを探すと、ヨハンナの遺骸が飛び込んできた窓からそれは姿を現した。
俺と宣仁叔父はそれを見て、その見覚えある姿に目を見開いた。
「シンクレア…神父…。」
「シンクレア…って、聖アンデレ教会の失踪した神父だろ?」
俺の呟きに奏夜が返した時、宣仁叔父がそれに向かって叫んだ。
「イエス・キリストの御名によりて命ずる!汝その屍より出でて去り、死せる者、生ける者の体に触れるべからず!」
だが、それは怯むどころか、その溶けかけた濁った目で宣仁叔父を見、そして襲い掛かろうとした。しかしその時、開いた扉から別の声が響いた。
「真に告ぐ!神の独り子、イエス・キリストの御名によりて厳命す!汝その体より離れ、如何なるものにも触れることなし!」
その人物はそう言うや、手にしていた何かを振った。
すると、シンクレア神父だったものは力を失い、バタリと床に倒れ伏して動くことはなくなったのだった。
「ドミニク神父!」
そこへ現れたのは、聖アンデレ教会のドミニク神父だった。
「間に合いましたね。まさか全ての結界が破られるとは…正直思いもしませんでした。」
「どうしてここへ?教会の方は…。」
俺は目を丸くして問った。すると彼は済まなさそうに返した。
「あちらはもうダメです。信者には家から出ないようにと厳命し、私はこちらに参りました。そろそろヴィクトール牧師も到着するはずですが…。」
「え?ミカエル教会もですか?」
「そうです。ですが宗教関連の施設だけを奴等は襲っていて、それ以外は見向きもしてませんからね。だから私もこうして来れた訳ですが。」
まぁ…そうなのだろう。でなければ、ドミニク神父はここにいないからな…。
だがそうすると…この地方の宗教関連の建造物は壊滅的で、大半の聖職者はいなくなっていることになる。この件で亡くなった方も多く、アウグスト伯父も恐らくは…。
しかし、ここで落胆している場合ではないのだ。それはこの場に集まる全ての者が理解している。
聖堂内の騒ぎは未だ収まっておらず、司祭達が右往左往しているのが分かる。だが思った程ではない。なぜなら、この大聖堂自体が強力な結界になっているからだ。それは
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