last case.「永遠の想い」
Y 同日 PM2:45
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、古い原始宗教の復活。この地方の原始宗教は、主に自然崇拝と精霊崇拝だが、これはキリスト教の神とは相容れない。この原始宗教に人々の心が傾いたなら、悪霊共には全く好都合と言うものだ。
だが…それだけとは到底考えられない。
俺達がそれらのことで頭を抱えていた時、そこへ綾と奏夜が血相を変えて飛び込んできた。
「大変だ!」
「何事だ。ここは聖堂内だぞ。」
息を切らせて入ってきた二人を宣仁叔父がなだめたが、二人はそれどころではないと言って緊急を要する事態だと言い、息を整え終わる前に口を開いた。
「聖マルコ教会が…地盤から崩れて全壊したんだ!そこへ行っていた大伯父様が!」
「兄上が!?」
綾の言葉を聞くや、宣仁叔父は顔色を変えた。だが、入ってきたのはこれだけではなかった。立て続けに司祭が飛び込んできて、唖然としている俺達へぺテロ修道院教会が炎上していることと、聖ヨハネ大聖堂が河川の氾濫によって町ごと水没してしまったことを伝えたのだった。
「この短時間で…。」
メスターラー氏は険しい顔つきで呟いた。宣仁叔父は固い表情で黙している。
「京兄…これって…。」
綾は不安げに聞いてきた。その隣では奏夜が蒼い顔をしてこちらをみている。
「大丈夫さ。きっと…大丈夫。」
俺は何とか気力を振り絞り、二人へとそう言った。それが単なる気休めにしかならないのは分かり切っていたが、綾は俺の手を握って言った。
「そうだね…京兄。」
その声は小さかったが、何かを決意したような力強さがあった。
しかし、その様な中に禍は容赦なく押し寄せてきたのだった。
それは突然窓を突き破り、俺達の目の前へと姿を見せたのだ。
「何てことだ!」
窓を突き破って侵入したものとは…ミイラの様な死体だったのだ。それがもぞもぞと動き、立ち上がろうとしていた。「京兄…!」
綾は驚愕し、俺の腕を掴んだ。いや、綾だけでなく、この部屋へいた全ての人が驚愕していた。
その中で唯一、宣仁叔父だけが冷静に言った。
「イエス・キリストの御名によりて命ずる!汝、その屍より出でて去り、二度と死せる者、生ける者の体に触れるべからず!」
だが、宣仁叔父がそう言うものの、それは宣仁叔父を嘲笑うかの様に首をくるりと後ろへ回転させ、笑うかのように歯をカタカタと鳴らした。顔…と言うよりは骸骨なのだが…。
そうしているうちに聖堂内のあちこちから声が上がり、得体の知れないものはこれだけではないらしいことが窺い知れた。
「叔父様…これは…。」
「結界が破られたせいだ。墓に横たわる遺体を、悪霊が利用しているのだ。そこにいるのは…あの盗まれたゴッドフリートの妻、ヨハンナの亡骸だ。」
そう言われ、俺は未だ歯をカタカタ言わせているそれを見ると、干からびた皮膚に何かの跡らしきものが見て取れた
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