last case.「永遠の想い」
W 5.2.PM1:36
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のことが綴られていた…。
夫妻には三人の子供がいるが、家族で音楽が好きらしく、演奏会に度々来ていた縁で父と親しくなった。母とは教会で一緒に仕事をしたことが切っ掛けになったそうだが、それが十代前半のこと。母の方が付き合いが長いのだ。
「兄が大変なことになっているらしいので、ちょっと様子を見に行ってきますと。」
「…。」
綾の答えに、一同は呆気に取られた。まぁ、こんなんじゃないかとは思ったけど、そんな風に言って出てきたら、あちらにも心配が掛かるじゃないか…。きっと今頃は母が行ってる気がするけど。
綾はいつもこんな感じだし、ここで帰れと言ったところで言うことは聞かないだろうしなぁ…。
しかし、ここへ居させれば綾にまで危険が及ぶだろう。綾は俺がどんなことをしているか正確には知らない。話してないんだ。
俺は仕方無いと言った風に溜め息を吐いて言った。
「仕方が無いから、暫くはこっちにいていい。」
「本当ですか!?」
綾は目を三倍は輝かせ、俺をジッと見詰めた。きっと帰れと言うと思ったんだろう。こっちは渋々だってのに、全く暢気な弟だよ…。
「だが、この大聖堂に寝泊まりは出来ない。お前は隣町のホテルに泊まれ。奏夜もそこへ泊まってるから、これといって心配することはない。」
「えぇ!この町、泊まるとこ無いんですか?」
「そうだ。ま、嫌と言うなら帰ってもらうが?」
俺がそう言うと、綾はシュンとして「分かりました…。」と、本当に仕方無いと言った風に返した。
すると、そんな綾を見て奏夜が言った。
「わざわざ同じホテルで別部屋とらんでも、俺んとこ来ればいいじゃん。広い部屋取ってるし、綾一人くらい余裕だっての。」
「え…。奏兄、昼夜問わず煩いじゃないですか…。」
綾は露骨に嫌な顔をして奏夜を見た。言われた奏夜は顔を引き攣らせ綾へと返した。
「おい!人様に迷惑掛けといて煩いとは何だっての!タダで泊まれんだからいいじゃんかよ!文句言える立場かっての!」
すごい勢いで言われた綾は観念したように項垂れ、先の提案を受け入れたのであった。
こんな二人だが、別に仲が悪いというわけではない。ただ…奏夜は作曲家故か、彼の私生活に朝も夜もない。曲想が浮かんだが最後、突然楽器を鳴らし始めてしまうのだから、それが真夜中であろうものなら眠れやしない。無論、ホテルの部屋は防音になっているが、一緒に泊まるとなれば覚悟が必要…と言うことだ。彼女がいないのも頷けるな。俺もいないけどさ…。
決まったら即実行とばかり、奏夜は綾の荷物を持って綾をホテルへと連れていくことになった。
「そんじゃ、俺は取り敢えず綾を部屋に連れてくから。」
「えっ!?もう行くの?」
「ほら、兄貴は逃げやしねぇから立った立った。」
そう言われ、綾は渋々席を立った。
「京兄、後
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