last case.「永遠の想い」
U 4.25.PM6:57
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ターラー氏は少し唸ってから目を開いた。
「…痛っ…。どう…なった…。」
「私の負けです。取り逃がしてしまったので…。」
「そうか…。」
メスターラー氏はそう言うと、俺の肩に手をやって立ち上がった。
「藤崎君…君、あの声を聞いて驚いていたね?私にも聞き覚えがあったが、どうにも思い出せない。あの声の主は一体…。」
そう問われ、俺の体は硬直した。
あれを…あんなやつを田邊とは言いたはないし認めたくもない。人間を玩具のように扱い、そして人の心を弄んで楽しむやつを…。
「どうした…?」
再度問われた。
言わなければならないことは…理解してる。ここまできて、不可思議なことを認めないメスターラー氏でもプフォルツ警部でもない。
ただ、俺がそれを受け入れられないだけだ。この事実を受け入れたら、もうただの日常には戻れない…いや、今まで普通なんて無かったんだ。単に俺がそれを「普通」という枠に無理矢理押し込んでいただけ…。
だから…田邊は…。
「メスターラーさん…。あれは団員だった…田邊です…。」
「何…だと…?あの一月に失踪した団員か?」
「はい。ですが…もう彼は彼ではなくなっていました。」
「それは、どういうことなんだ?」
メスターラー氏は険しい表情で問った。俺はそれに対し、先に起こった事を全て話した。
俺がメスターラー氏に話している間も、プフォルツ警部は警官を指揮して事態の収拾にあたっていた。いくら裏路地とはいえ、全く人が通らない訳じゃないからな。遠くには野次馬らしき人影も見えていたが、二人の警官によって行く手を際切られていた。さすがにこれを見せる訳にいかないからな…。
俺が全て話し終えると、メスターラー氏は険しい顔付きのまま俺に言った。
「後は私に任せ、君は直ぐに弟を連れて帰るんだ。」
「どうしてです?やつと対峙したのは僕で…」
「君が狙われているんだ。そうだな…最初から気付けば良かった…。奴等は、君の事を狙っていたんだ。そう考えれば…辻褄が合うからな…。」
メスターラー氏は何か解った風だったが、俺には今一つ理解し難いものがあった。
「どういう…ことですか?僕は別に何も…」
「いや、あるはずだ。その理由を…君の伯父達は知っている。だから、戻って問うんだ。自分が何者であるのかをな…。」
「ですが…」
「黙って行ってくれ。これに決着をつけられるのは…恐らく君だけだろうからな…。」
彼は…何かに気付いたんだ…。いや、前回からの調査で何かを知ってしまったのだろう。
だが、聞けない。ここで彼に問っても、それを答えてくれないだろうことは察しがついていた。
「分かりました。後は…頼みます。」
メスターラー氏は俺の言葉に頷くや、そのままプフォルツ警部のところへと行ったのだった。
俺は奏夜を連れ、何
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