last case.「永遠の想い」
U 4.25.PM6:57
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「お前…どうして…。」
「お願いです…僕が…僕であるうちに…逃げて下さい…!」
田邊はそう言うや、また直ぐに呻き始めた。
その時、背後からプフォルツ警部らが駆け付け、この惨状を目の当たりにして言った。
「何なんだ…これは…!?」
その声に反応するかのように、田邊…いや、やつが再び嘲笑しながら立ち上がって言った。
「馬鹿な奴だ。この躰は、もはや私のものだ。手一杯に欲望を満たしてから…お前を殺してやるよ。」
「何をする気だ…。」
俺は精一杯やつを威嚇しながら言うと、やつは凍る様な笑みを見せて言った。
「何を…か?人間を犯しまくって殺しまくって…楽しいぞ?何せ、今まで私が入った躰は、皆バラバラに裂けちゃったからねぇ。全く、使えない奴ばかりだ。その点、こいつは私が入っても壊れなかった。いやぁ、楽しませてくれる!」
「そうはさせない!」
俺はそう言って掴みかかろうとした時、やつは慌てて退いた。
「…?」
それは、ただ捕まることを恐れて…と言うよりも、触れられること自体を恐れている風だった。
その様子を見て、俺はふと思った。やつは一度も俺に触れてはいない。殺すと言うわりには、俺には何もしていないのだ。
「お前…一体…。」
俺がそう言うや、やつは下卑た笑みを見せて言った。
「気付こうが気付くまいがどうでもいい。後は私の遣ることを見てればいいさ。」
やつがそう言った刹那、炎がやつを包み込み、残ったのは火の燻る亡骸だけだった…。
俺は次の瞬間、躰の力が抜けた様に膝をついた。
「ふ…藤崎さん!これは一体どうなっているんですか?!」
あまりのことに固まったままだったプフォルツ警部が、やっと我に返って俺にそう問った。
「私にも…分かりません。ただ…。」
問われた俺は、そこで言葉に詰まった。何をどう話せば…どう言えば伝わるのか…それが分からなかった。
「ただ…何ですか?」
プフォルツ警部は尚も聞いてくる。この惨状を何とか理解したいのだろう。
「ただ…田邊君の躰が…悪魔に奪われたとしか…。」
こう言ったところで、そう信じてはもらえまい。それは分かりきったことだ。だが、こう言うしかなかったのだ。
目の前のこれは紛れもない現実であり、それは変えようもない。
だが、田邊が躰を奪われた理由を聞いたのが…俺だけで良かった。彼の精神まで辱しめられるところだった…。
「本当は…気付いてたんだ…。」
俺がそう呟くように言うと、プフォルツ警部は「何がですか?」と言った。
「いえ…何でもありません。それより、この状況を整理しないと。」
俺はそう自分に言い聞かせるように言って立ち上がり、先ず気を失っているメスターラー氏を抱え起こした。
「メスターラーさん、確りして下さい。」
そう言って揺さぶると、メス
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