last case.「永遠の想い」
U 4.25.PM6:57
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もベルリンにもな。こう見えても結構有名なんだぜ?俺のツテも、それなりに役に立つんじゃないか?」
奏夜にそう言われると、メスターラー氏は少し考えてから「分かった。」と一言だけ言ったのだった。
俺達は暫く黙ったまま町を歩いた。目的地にはそろそろ着く筈だったが、その手前で足を止めることになった。前を歩いていたメスターラー氏が、何かに気付いて足を止めたからだ。
「どうされたんです?」
俺がそう囁く様に問うと、メスターラー氏は「聞こえなかったか?」と問い返されたため、俺は訝しく思いながらも耳を澄ました。
ここは町中だ。周囲を見ても特に変わった様子はなく、聞こえるのも雑踏特有の雑音ばかり…。奏夜も何だか分からない風で首を傾げていたが、次の瞬間、その雑音の中に悲鳴が上がったのだった。
悲鳴が上がるや否や、メスターラー氏は直ぐに走り出し、俺と奏夜も後に続いて走り出した。
大通りから小さな路地へと入ると、そこには中世を彷彿とさせる石畳になっていた。周囲は煉瓦造りの家々が並び、まるでタイムスリップしたかの様な感じがする。
その細い石畳の通路の真ん中に、一人の女性らしき人物が後ろ向きで座り込んでいた。恐らく、この女性が悲鳴を上げたのだろうと、俺達はその女性へと歩み寄った。
「どうされましたか?」
メスターラー氏が最初にそう声を掛けたが、全く返事がない。そのため、俺達は前へ進むと、その状況に驚愕することになった。
「うっ…!」
奏夜は見たものに嫌悪し、壁際へ駆け寄って嘔吐してしまった。幸か不幸か…俺とメスターラー氏は、こういうものに慣れてしまっていたため平気ではあったが…。
「これは…どうしてこんな…。」
それを見て、俺はそう言うしかなかった。だが、それに答えられる者はいないだろう…。
その女性らしき人物…その前半分が焼けて炭化し、一部は崩れ落ちていた。追い風であったため、俺達はその臭気に気付かなかったのだ。
「悲鳴聞いてまだそんな時間経ってねぇのに…どうなってんだ?それ見た奴が悲鳴上げたんじゃねぇのか…?」
蒼い顔をして奏夜はそう言うが、メスターラー氏は首を横に振ってそれを否定した。
「この女性が声の主だ。亡くなって間もないからな。尤も、もっと早い時分に亡くなっていれば、当に警察が来ている筈だ。人少なな路地裏であっても、全く人影が皆無と言う訳じゃないからな。」
そう言うや、メスターラー氏は携帯でどこかへ連絡を入れた。恐らくは警察だろう。
「兄貴…兄貴の回りじゃ、こんなことがずっとあったんかよ…。」
奏夜が問う。俺がどんな事件に巻き込まれてるかは話に聞いても、その中でどんなものを見てきたかは知らないからな…。
「そうだ。」
俺は一言だけ返した。奏夜はそれで理解したようで、その後は何も言わなかった。ま、ここで
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