機動戦艦ナデシコ
1295話
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高いのはナデシコだろ? 最大戦力のミロンガ改はナデシコに残しといた方がいいと思うんだけどよ」
ウリバタケの言葉に、それを聞いていた何人かが頷く。
だがそんな者達とは逆に、ネルガル側の人員のプロスペクター、ゴート、そしてエリナは苦い表情を浮かべていた。
何だ? まるで俺をその研究所とやらに連れて行く必要があるみたいに考えているように見えるが。
研究所の方に何かあるのか?
「あのー……」
ミロンガ改をどこに配備するのかを考えていたブリッジの中で、唐突に声を上げたのはテンカワだった。
どこか微妙に申し訳なさそうな表情を浮かべつつ、それでもこれだけは絶対に主張したいと声を張り上げる。
「その、出来ればユートピアコロニーにちょっと行きたいんすけど」
「ユートピアコロニー? アキトの故郷の?」
ユートピアコロニーという名前に聞き覚えがあったのか、艦長がテンカワへとそう尋ねる。
そうか、そう言えばテンカワと艦長は火星で家が隣同士だったって話だな。
だとすれば、艦長もそのユートピアコロニーってところに住んでた訳で、名前を知ってるのも当然か。
ん? 俺もどこかでその名前を見たか聞いたかした覚えが……記憶を辿っていると、その答えに辿り着く前にプロスペクターが口を開く。
「ユートピアコロニーですか。あそこにはもう何も……」
「分かってるっす。けど……それでもあの場所は俺の故郷だから」
「くぅーっ! 分かる、分かるぞテンカワ! 自分の故郷ってのは大事だよな。その故郷を見て木星蜥蜴と戦う覚悟を決める。これぞ男だ」
「ちょっと、ガイさん。今は余計な口を挟まないの。ほら、黙って成り行きを見守りましょ」
ヤマダがメグミに押さえつけられている光景は、ここ最近良く見る光景だ。
……そう言えば、ネルガルとの契約書の件ってどうなったんだろうな。
いつの間にか思い切りスルーされてるんだが。
ウリバタケ辺りが、また後で思い出して余計な騒動にならないといいんだけど。
「良かろう。……行ってきなさい。故郷を見る権利というのは、誰にでもあるものだ」
不意にそんな風に声を上げたのは、フクベ提督。
いつもは黙って眠っているか、お茶を飲んでいるかをしてるのに、珍しく自分の意見を……あ。フクベ提督? それってもしかして……
ユートピアコロニー、フクベ提督、木星蜥蜴、チューリップ。それらの単語が俺の頭の中で1つに繋がっていく。
確か木星蜥蜴が火星に攻めてきた時の戦いで、フクベ提督が自分の乗艦をチューリップにぶつけて火星に落としたんじゃなかったか?
で、そのチューリップがユートピアコロニーに落ちたとか何とか、この世界について図書館で調べた時に新聞記事で見た記憶があった。
テンカワの故郷がユ
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