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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
2-3 自分の意味を知りたくて
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れを聞いてさくらは衝撃を受けた。脇侍を機能停止に追い込んだ霊力を持っている上に、なによりあの米田の息子として身をおいているジンが、花組でもなく、ただの職員?ありえないと思った。
「僕は、米田さんの気遣いでここに身を置いているだけの、身寄りのないただの居候なんだ。『米田』の姓をもらったのも、米田さんの気遣いなんだ。
両親の顔も…自分がどこにいて何をしていたのかもわからない。
ここに来る以前の記憶が…何もないんだ」
「ッ!」
つまりは記憶喪失。さくらはそれを聞いて驚き、そして話を聞いていく内にさっきまでのジンの話の意味が分かってきた。
「この帝劇に住まわせてもらったときはそんな悩みは浮かばなかった。クセはあるけど、みんないい人たちだ。
だけど、自分があんな力を持っていると知ってから、悩みが浮かんできた。
僕には、自分の中にある得体の知れない力以外はなにもわからない。何を信じて…何をすればいいのか…何も分からない」
自分のことも、なにもかもがわからない。さくらはジンの話に耳を傾け続けた。
「なんか、気持ちが少し…分かる気がします。あたしもこの帝劇に来てから、似たようなことを考えてましたから」
さくらは柔らかな笑みを見せ、自分の意見を述べてジンを安心させようと試みた。
「あたしのお父様は、かつて米田支配人と一緒に、降魔戦争を戦ってきたんです」
今度は、ジンが興味を惹かれてさくらの話に耳を傾けた。そういえば、彼女は米田の知り合いの娘…という紹介だった。だが、降魔戦争…街でも聞いた単語だが、その詳細についてはまだ彼も知らなかった。米田と、彼女の父がその『降魔戦争』とやらに参加していたのか。
「そんなお父様にあこがれて剣術の修行を積み、そしてようやく米田さんの下で、父に代わってがんばる機会を得たんですけど…まさか、舞台女優として働くことにもなるなんて思いもしませんでした」
「…」
「舞台で役を演じるなんて、仙台にいた頃はちっとも考えたことなかったです。剣を持って、怪蒸気のような人々の平和を乱す存在とひたすら戦うとばかり思ってましたから。だから、この帝劇に身をおいてからはいつも戸惑ってばかりです。それに、お稽古もなれてないから、剣の修行以上に辛いです。アイリスはフォローしてくれるんですけど、マリアさんは容赦無に指摘してくるし、特にすみれさんはちょっとの失敗をしただけで嫌味の連続…正直、何度か折れそうになりました」
稽古の日々を思い出しながら、さくらは続けていく。
彼女はずっと剣の修行に身をおいていたのだ。それが突然大衆の娯楽のための仕事までする羽目になる。環境が一変して体がまだ追いつけ切れていないのかもしれない。しかも年頃の女の子同士、トラブルも起こりやすい。特に自尊心も高いすみれも混ざっているから余計かもしれない。
「でも、そんな時お
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