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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
2-3 自分の意味を知りたくて
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移った。
中庭に入り、噴水の水が流れる様子を見つめ、流れる音に耳を澄ませた。
水は綺麗だった。何一つゴミらしいものも混ざっていない。それはまるで、記憶を持たない自分自身のようであった。
自分の中に残っている一番古い記憶…水の中で沈んでいくだけのイメージしかない。もっと深くて、冷たくて、底は少しの光も通さない…
「ジンさん?」
そんな彼の元に、さくらがやってきた。噴水の前でただ一人佇んでいるジンが奇妙に見えたのかもしれない。
「こんな夜中にお一人でどうしたんですか?風邪、ひいてしまいますよ?」
「あぁ、大丈夫。ちょっと中庭の様子を眺めてみたくなってね」
「はぁ…」
なぜわざわざ夜に?と疑問に思ったが、さくらはあまり深く触れないことにした。
ジンはさくらから目を背け、ベンチに腰をかける。
「隣、いいですか?」
「うん」
さくらはジンから許可をもらい、彼の隣に座った。
「………」
それきり無言になるジン。なんか妙に気まずい。さくらは一応男の子の友人がいたのだが、ここしばらくは会っていないから、男に対する免疫が不足しがちだった。
「な、何か…お悩みですか?」
「悩み、か。まぁね…」
夜空を見上げながら、ジンはそこに光る星を眺める。不思議と心にのしかかっている重い感覚が軽くなった。
「…どうして、僕はここにいるのかなって…」
「え?どうしてって…」
急に奇妙なことを言い出してきたジンに、さくらは少し動揺を示した。
「もしかして、ここでのお仕事に不満があるんですか?」
「いや、不満があるわけじゃないよ。ただ…」
噴水の水音に耳を澄ましながら、ジンはさくらに向けて口を開いた。
「自分がわからないんだ。何をしたいのか、何をするべきなのか…そもそも僕は何者なのか」
「え、えっと…」
「ごめん、何を言っているのかさっぱりだよね」
事情を知らないさくらにこんな言い方をしたところで、意味不明な愚痴に様なものだ。
「米田さんと、何かトラブルでもあったんですか?」
「いや、そうじゃないんだ。ただ…公園でのことでね…。
花組のみんなには、降魔や怪蒸気と戦う力がある。それが僕にもあるみたいなんだ。君も見ただろ?」
「もしかして、脇侍が一斉に機能停止した時の…ですか?」
「うん…」
さくらも当事者だから、あの時トラ少年を守ろうと奮闘し、追い詰められていたはずのジンを襲った脇侍が、1秒もあれば止めを刺すことができる状況だったにもかかわらず停止したのを目撃している。さっきまで機敏に動いていたのに、機能不全にしては不自然だった。それがジンの持つ霊力に関係していると予想した。
「でもそれって、この帝国華撃団の戦闘員なら、持っていてもおかしくはないですよね?」
「いや、僕は正規の隊員じゃない。ただの職員だよ」
「えぇ!?」
そ
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