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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
2-3 自分の意味を知りたくて
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獣のように鋭くて長く、顔にも不気味な化粧が施されている。そして何より、彼は…子供とは思えない残忍な笑みを浮かべていた。
「おい、例のものを持って来い」
少年が闇の中へ手招きすると、その中から二機の脇侍が姿を現した。机運びのように、何か巨大な楔を持ち運んでいる。さらにもう一機、刀を持った脇侍が現れ、石の前に立つ。
「よし、この邪魔な石ころを斬ってしまえ」
この石には神様が恐らく祭ってあるはずなのに、罰当たりなことにその少年は石を切り落とせと命令した。脇侍は彼の命令どおり、その石をためらうことなく、縦一直線にズバッ!と切り落としてしまった。
「あぁ!!」
その光景を、見てしまった者がいた。
さっきも小さな人影という形で少年を見ていた、トラ少年である。やはり放っておけなかったのか、見てしまっていたのだ。
「い、石が…お前なんてことするんだ!!」
「トラ、さっきから名に騒いで…って!怪蒸気!?」
おクマも何時までたっても息子が家の戸を閉めないままであるのに痺れを切らして外に出たが、その途端に自分と息子の前に怪蒸気がまたしても現れたことに足をすくめた。
「ち…うるさいな」
少年は見つかってしまったことを対して苦に思っていなかった。寧ろ、トラ少年が自分を見て大声を出してきたことの方がわずらわしかったようだ。
「おい、あいつらを殺せ。僕の気を害した罰だ」
目撃された、ただそれだけの理由で、なんとその少年はトラを殺せと脇侍に命令を下したのだ。脇侍はためらう姿勢さえ見せず、トラ少年のほうへと歩き出していく。
「う、うわああ!!」
またしても怪蒸気が自分を襲おうとしているのに気づき、トラ親子は悲鳴を上げてすぐに逃げ出した。二人の悲鳴を聞きつけ、何事かと他の長屋の人たちも外に出てくる。そして、怪蒸気が自分たちの長屋エリアにも現れたことに驚き、悲鳴を上げながら逃げ出した。
それからは大騒動だった。なだれ込むように、長屋周辺で暮らしてきた人たちは、怪蒸気の脅威から一刻も早く逃れようと、逃げ惑い始める。脇侍たちは、少年の命令どおり長屋を壊しながら、人々を襲い始めた。
「いやああああ!!!」「た、助けてくれえええ!!」
人々は脇侍の刀によって切り伏せられるもの、または踏み潰されてしまう者と悲惨な最後を迎えていく者、辛うじて逃げる人たちもいたが、被害はすぐに甚大なものとなった。
「迷えば、仲間が死ぬ…」
米田もそう思って、記憶がないために自分の力に猛烈な戸惑いを覚えていたジンに警告したのかもしれない。
けど…なぜだろう。自分はその分だけとてつもないもどかしさを覚えた。
結局マリアから、力に関する答えを聞けなかったジンはマリアと別れて階段を降り、支配人室へ。
ふと、支配人室へ向かう途中の廊下の内側の窓。そこから見える中庭の噴水に目が
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