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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
2-3 自分の意味を知りたくて
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」との一文もある。
「降魔戦争…か」
その悪夢は、米田もよく知っている。『あの時』も帝都にいたのだから。
あの時の、いつ滅ぶかも分からない地獄の日々は忘れたくても忘れられない。大切なものを失った日でもあるのだから…。
だからこそ、ジンを自分たちの戦いに巻き込みたくなかった。『これ以上』、あいつに苦しんで欲しくない、その思いを募らせながら。
だが、一方で米田は帝国華撃団の司令として、彼の持つ力の必要性も感じていた。先日の戦いで現れた、あの巨大な降魔…マリアとすれみの二人がかりでも敵わなかったあの怪物に立ち向かえる手立ては、今の華撃団にはない。『光武』の力をもってしても勝てないのなら、それ以上の力を持つ新たな『霊子甲冑』が必要だ。だが、そのための費用は光武以上に馬鹿にならない。『賢人機関』の政治家たちも、自分たちを支援している『花小路伯爵』以外の多くが、降魔戦争の恐ろしさを知っていながら自分たちの財力がすり減らされるのを恐れて反対が多かったほどだ。いや、知っていたからこその反対かもしれない。だが降魔に殺されてからではせっかくの財産も無意味だ。苦心の説得で、すみれの実家が経営している『神崎重工』に資金を回してもらったことで光武を作り上げたが、その光武二機の力でも…
「くそ…俺は軍人としても父親としてもダメだな」
民間人を守るだけの力がまだ足りておらず、かといって自分が息子として引き取ったジンの持つ強大な力にすがらなければならない。彼の相反する立場上の考えと思い、本音…それらが板ばさみとなって米田の心を締め付けた。
その頃…帝都郊外の長屋。
「トラ、もう遅いからさっさと寝ちまいな」
その中の一軒に、ジンがさくらと大神らと共に助け出した少年、トラが住んでいた。もう夜遅くの時間。まだ子供のトラにとってもう寝なければならない時間帯でしかない。
「わーってるよ!」
トラ少年は少しぶっきらぼうに、母であるおクマに言い返しながら、玄関の戸を閉めなおそうとした時だった。
「?」
彼の家の近くには、大きな石が置いてある。祠の一つとして何かを祭っているものだ。近所の人たちは何かあると、この石にお祈りをする癖がある。トラにとっても何も変わらない日常の景色なのだが、この日はちょっと違っていた。
石の前に、小さな人影が見えたのだ。なんだろう。こんな時間に近所の子供がこの辺をうろついているのだろうか。
「トラ、早く戸を閉めな!」
「ああもう!分かってるから!」
これ以上他の何かに注意を寄せると母がうるさい。本当は飛び出して確かめに行きたかった。だが、扉を閉める際にもう一度見てみると、やはりさっきの小さな人影がそこに立ったままだった。
「これが、あいつが言っていた例の石だね」
小柄なおかっぱ頭の少年だった。だがその両手から伸びるつめは
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