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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
2-3 自分の意味を知りたくて
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。普通の人が望んで手に入れられるものでもなく、自分の意思と関係なく持たされる異能の力。自分でも恐ろしく思える。マリアもそういう見立てができていた。
「けど、この力で私も何かできることがある。それを米田司令たちは教えてくれた。だから私はここにいる」
「…」
「あなたはどうなの?上野公園でのこと、聞いたわ」
ジンはあまり問題を起こすことなく、この帝劇での仕事をこなしてくれている。だが記憶がないゆえにまだ素性がはっきりしていない点については、用心深いマリアはまだ疑惑に近い感情をジンに抱いていた。さらに、さくらが入隊した当日に遭遇した怪蒸気『脇侍』を、己の身から発した霊力で吹き飛ばしたという。米田がそれでなおこの少年に肩入れしている。決して米田の事を信じていないわけではないが、上野公園での一軒で、彼に対しての疑惑が少し強くなった。だが米田の判断を信じたいところもあり、彼自身は今導考えているのかを見極めてから判断することにした。
「…僕はあの時、無我夢中で力を放って、子供を助けることができました。
もしかしたら使い方次第によっては…」
人に役立つこととか、とにかくすごいことを何でもできるようになるかもしれない。そう思ったが…そんな調子のいい事をすぐに考えるほどジンはお調子者ではなかった。
「けど、自分が余計に何者なのかわからなくなって…不安で…どうしたらいいのかわからない。本当は自分がどんな存在なのか…」
もしくは、やはり化け物なのではないか?嫌なことばかりを想像してしまう。
「マリアさん、僕はどうすればいいと思う?この力でみんなと一緒に降魔と戦うべきでしょうか?それとも…」
「……」
マリアはジンからの問いにすぐ答えようとせず、バルコニーから背を向け、帝劇の屋内に戻り始めた。
「マリアさん?」
回答に応じずに、この場から去り始めるマリアに、ジンは戸惑いを示す。
「あなたが迷うのは仕方ないことでしょう。けど…」
マリアは、屋内に足を踏み入れる直前、一度足を止めてジンのほうを振り返る。
「私は迷っている人とは、一緒に戦えないわ。戦場での迷いは、仲間を死に追いやるだけ…」
厳しくシビアかもしれない。だが、的確な心理を突いた言葉にジンは何も言い返せなくなり、マリアが去っていくのを黙ってみているしかできなかった。


「……」
米田は支配人室にて、じっと新聞を見ながら構えていた。
記事には『謎の怪蒸気、街に被害』『赤い巨人、再来!』とタイトルが刻まれ、どれも最近帝都で起こった怪事件のことで埋め尽くされていた。
いずれの事件も帝都中に被害をもたらし、人々が大変恐れを抱き混乱していることが伺える。特に、『巨大降魔再臨!帝都壊滅の秒読みか』との記事はその意思を最も体現しているように見えた。文面には「降魔戦争の悪夢が蘇ることが懸念される
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