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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
2-3 自分の意味を知りたくて
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「上野公園で怪蒸気の襲撃を受けたって聞いたときはヒヤヒヤしたぞ」
さくらを連れて帝劇に戻ったジンと椿。もちろん、上野公園で起きた事件は帝国華撃団も察していたが、まだ光武の修理が終わっていなかったことが関係しており、かといって生身で現場に駆けつけようにも時間を要することや、出撃準備完了前にジンやさくら、そして現場にいた海軍士官学校生である大神によって収束していた。出動はうやむやとなり、現場には正規の軍の調査隊が赴き、ジンたちは目立たないうちに帝劇に戻ってきた。
今、ジンたちは支配人室に呼び出され、事件当時のいきさつを話した。
「まさか帝都に到着した日に怪蒸気に出くわしちまうとは。まぁ、上野公園に現れた奴らは全滅したし、怪我もなくて安心したぜ」
酷く心配した後の、どっときた安心感の影響か、酒の瓶から酒を注ぎ、米田はぐっと飲む。
「それとさくら、よく来てくれたな」
「あの、米田さん!」
しかし、一方でさくらは何か動揺を隠しきれない様子だった。
「ここって、本当に帝国華撃団の本部なのですか!?」
「んあ?そうだが、どうかしたか?」
「だって、ここってどう見ても劇場じゃないですか!どうしてお芝居なんて…あたしは帝都を守るために呼び出されたんじゃ…?」
この口ぶりだと、さくらはここに来るまで、自分が入隊することが決まっていた帝国華撃団の表の姿を知らないままだったようだ。最もだろう、普通は戦うために編成された部隊が、俳優として舞台に立つなんて考えられない。
「…ジン、お前が説明してやれ」
「ぼ、僕がですか!?」
「お前の記憶力診断も兼ねてだ、さくらに説明してやれ」
「はぁ…」
どこか米田が説明をめんどくさがってジンに役目をなすりつけたようにも思えたが、ジンは言われたとおり、さくらに帝国華撃団についての説明を入れることにした。霊力の向上と安定、光武の整備費稼ぎ、そして世間や敵の目を忍ぶため…説明したところで、さくらはどこか釈然としていない様子ではあるものの、理解を示してくれた。
「さくら、二階のサロンにお前の仲間になる花組の3人を集めてある。挨拶して来い。椿、案内してやれ」
「は、はい。では、失礼します」
「ではさくらさん、私がお連れしますので着いてきてください」
椿に連れられ、さくらは手荷物を持って、支配人室を後にした。
「おっとジン、お前にはまだ話がある」
彼女らに続く形で自分も部屋を後にしようとしたジンを、米田は引きとめた。
「なんでしょうか…?」
「お前、力を使ったか?」
「ッ…」
「その顔だと図星みてぇだな。さくらの話の内容に、奇妙なものがあったからな。もしかしたらって思っていたが…」
米田には気づかれていたようだ。上野公園で起きた一部始終を報告する際、さくらの口から、怪蒸気が後一歩のところでさくらたちを追い詰
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