テーマ短編
SAO番外編 0kcal(虚構の三膳)
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と言うのも……[料理]の応用コマンドの中に[発酵]と言うものがある。この[発酵]コマンド、[短縮発酵]と[通常発酵]に分かれているのだが、すぐに出来てある程度の変化が得られる短縮発酵以上に、一定時間待たなければならない通常発酵した生地の方が食感が軽くなるのだ。
「よいしょ、よいしょ」
ナッツと、ドライフルーツを練り込んだ生地を作っておいておく。今日のおやつは、ドイツのシュトーレンのような……と言えば聞こえは良いが、要は普通のドライフルーツパンになりそうだ。
「(今度はパイとかも良いかな……)」
そう言えば現実の料理にはパイ包み焼きなどいくつかパイ生地を使うものと言うのがあるが、あれらはこの世界でも再現可能なのだろうか?
こんど試してみよう、などと考えて練った生地を発酵状態で置いておく。
次は昼ご飯だが、今日はハーブパスタだ。生地から自作したパスタを茹で始めると同時にソースを作る。
現実ならソースがある程度出来てからパスタを茹でるのだろうが、システムの処理時間の関係でこちらでは逆だ。
「うん、こんな感じ……かな」
数分もすると、サチの前には爽やかな緑色のパスタと簡単なスープが並んでいた。飲み物はアイスティだ。
「いただきます」
軽く手合わせ、挨拶の後、一口。
「…………」
食べた瞬間、ハーブの爽やかな風味と程よい塩気が口いっぱいに広がった。食感のアクセントとして入れた松の実……風の木の実もなかなか悪くない。が……
「(リョウならもうちょっと塩気が欲しいって言うかな……?)」
自分はこのくらいでちょうどだが、彼の場合は恐らくそうだろう。だが余り塩気を出し過ぎると香りとのバランスが崩れてしまう。良い案配を探したいところだが……
「要研究、かな」
新しい課題にワクワクしつつ、サチは手を食を進める。なんだかんだで、この世界の料理と言うのは奥深い。プログラム解析を伴わないゲームの仕様分析にも似たそれらは、彼女にとっては十分過ぎる娯楽であると言えた。
――――
「…………」
例のフルーツパンを焼きに入れてから、サチは暖炉前の揺り椅子に座って裁縫をし始めた。裁縫も、最近料理と同じくマスターした生産スキルだ。
サチは攻略組が本来レベリングに使う時間のほぼ全て、あるいはそれ以上の時間を、自身の生産スキル向上に当てていた。材料は殆どの場合彼に買ってきて貰うか、もしくは捕ってきて貰うのだが、最近はその代金を自分の物を売った金で払えるようになり始めていた。
リョウが、最前線よりちょっと手前辺りのPCショップにでサチの商品を売るように鳴り始めたからだ。
布製でありながらどれも高い防御力を誇るサチの作る作品達は、お洒落をするために着込むタイプの物とは違い、常に実用性に重きを置いた物になっている。
それ
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