テーマ短編
SAO番外編 0kcal(虚構の三膳)
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ーガーである。ストレージに入れておけば、約二日持つという恐るべき耐久性を持つこのバーガーは、火が通って居るか生野菜なら大抵は挟めるという汎用性の高さも備えている。これを前に持たせた所、その日の夜食に完食してきたばかりか、大好評だったので、今も作り続けていると言うわけだ。
ちなみに、本日の中身は白身魚のフライである。
尚このサンド、食べずに次の日まで持ち越した場合は、暖め直して翌日の朝食の主食になる。
本日も、昨日の焼き鳥(っぽい肉)サンドが朝食のメインだ。
昼食と非常食が仕上げに取りかかる頃には、既に朝食のおかず作りが始まって居る。卵にチーズと葉物の野菜などを混ぜで焼いて、さらに皮が張るまで茹でたウィンナー。焼きと茹でがあがる頃、自分が洗面所に居る間に外に出ていた彼が中に戻ってくる。
「おはよう、リョウ」
「おう、おはようさん、さて、あっさ飯〜」
楽しげに弾む声にサチは小さく微笑んで盛り付けに入る。
皿に載せた料理と紅茶を食卓に載せたら、とりあえず一段落だ。
「んじゃま、今日も朝の恵みに感謝して」
「「いただきます」」
大事な大事な、食事の挨拶だ。
――――
「むぐ、この野菜の卵……なんだっけか、ふり……」
「フリッタータ?」
「それな、結構腹に貯まるな、満腹感ある」
言いつつ口に放り込んだそれをモグモグする彼に、サチはどこか嬉しそうに頬を喜色に染める。
「卵とチーズと野菜のバランスが大事なの、ちょっと工夫してみたんだよ?」
「ほほう、んー、美味いな」
ニヤリ笑って美味そうに食を進める彼に、サチも嬉しげに笑みをこぼす。“美味い”の一言がこんなにも嬉しいものなのだと気が付いたのは、彼に料理を振る舞うようになってからの事だ。
――――
「んじゃま、行ってくるわ」
「はい。行ってらっしゃい……気を付けてね?」
「おう」
安心させようとするようにニヤリと余裕有り気な笑みを浮かべて振り返り歩き出す彼の背中を、サチはいつも見えなくなるまで見送ってしまう。何度となく追い掛けたい衝動に駆られた事はある。しかしどう足掻いても彼の居る場所に追い付けはしないと分かっている自分が彼を追い掛けた所で、それは勝手な我が儘で彼を縛り付けようとする事にしかならない。
理性で理解しているそれらが、感情の衝動を押さえ込む。
「……行ってらっしゃい」
――――
さて、昼間の内に家の中の点検やら足りない備品やらをリスト化し終わると、掃除やら服を洗ったりするやらの必要が無いこの世界では段々やることが無くなってくる。
「今日は特にお買い物もないし……」
少しばかり考え込んで、サチは小さく頷くと、台所に歩いていく。
昼食と、おやつを作ることにしたのだ。ちなみに、先に作るのはおやつである。
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