コラボ・クロス作品
戦士達×RoH
Roh×戦士達 《五話─人が信じ合う為に》
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のポットに入った紅茶をボクのコップに入れてくれる。其れは綺麗な紅色の、アイスティーだった。
「い、いただきます……」
「どうぞ。召し上がれ?」
言われてボクは紅茶に口を付けて、驚いた。この世界では、紅茶にしろ何にしろ料理アイテムは例えプレイヤーメイドの物であっても期待できる物を出せる人は殆どいない。けれどサチの入れてくれた紅茶は爽やかな香りと苦みが口の中を駆け抜け、それでいてあまり渋みの残らない、とても美味しい紅茶だった。
「おいしい……」
「そう?よかった」
ほぅ、と安心したように息を吐いているサチを不思議な気持ちで眺めながら、ボクは皿の上に乗って居たサンドウィッチにも手を付ける。そしてそれを一口食べた途端、先程の何倍もの衝撃におそわれた……
味は、普通のチキンサンドウィッチだ。勿論これだって、この世界では、否、現実世界で言ったって相当美味しい部類だ。
ジュウシィに焼かれた鶏肉の肉汁と、スパイシーな少し辛めのソースが合わさって、食べごたえもある最高の味だと思う。けれど、ボクが驚いたのは其処では無い。……ボクは、この味を“知っている”。
あの日、リョウさんがボクに立つ力を与える為にくれた、サンドウィッチ。ボク達の旅の最初の救いになってくれた、一生忘れないと誓った、今も確かに覚えているあの味。
其れと、今食べているこの味は、全くのうり二つだった。
「あぁ……」
そうか、この人だったんだ。
「あぁっ……!」
この人もまた、あの日、ボクとルビーを救ってくれた人の一人……
「だ、大丈夫!?ソース、辛過ぎたかな?ごめんね!?」
「えっ……」
サチの心配そうな顔を見て初めて、ボクは自分が涙を流している事に気が付いた。直ぐに止めようと頑張ったのだけど、拭っても拭っても後から後から溢れて来るその涙を止めて、サンドウィッチの味に問題があったのではと聞いてくるサチの誤解を解くのには結局、たっぷり六分もかかってしまった。
────
「じゃあ、その時私のサンドウィッチを……」
「うんっ。あの時の味も、今日の味も、ボク、一生忘れないよ」
「そっかぁ……嬉しいな、私の料理で、ユミルに元気があげられたなら、とっても」
優しく、はにかむような笑顔でそう言ったサチの眼もとには、うっすらと涙が浮かんでいた。
気が付くとユミルは、サチに自分とリョウが体験した、事の全てを話していた。自身の使い魔であるミストユニコーン、ルビーの事まで、本当に全てだ。初対面の人間にいきなりこの物語を聞かせるのは初めてだったが、それでも良いと思えた。
何故かはわからない。しかしこの少女は信用出来る。そう確信が持てたのだ。きっとサンドウィッチの味が彼女の人柄を色濃く映す、優しい味だったせいだろう。
「あれ?」
と、不意にサチが少しだけ
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