コラボ・クロス作品
戦士達×RoH
Roh×戦士達 《五話─人が信じ合う為に》
[13/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
あの日から、何度も何度も考え、何度も何度も悩んだ。
そして、結論に至った。
「……でも、ホントを言うと、ちゃんとした形のある答えじゃないんだ。だって、ボクの答えは、“自分の経験と直感を信じる”なんて物だから」
そう、結局、万人に等しく適用される、他人を信じる根拠などと言う物は、この世の何処にも存在しないと言うのが真実なのだと、ユミルは悟った。
人が人を信じる、ならば何をどう信じるのか?その答えを求めた時、その回答は決して一つの枠組みには当てはまらない。何故なら其れは人それぞれ違うのだから。
金で信じる者がいれば、長く培った経験で信じる者がいる。積み上げた絆で信じる者がいれば、与えられた恩で信じる者がいる。そんな秩序の無い、とても答えとは言えない答え。
そんな物は答えでは無いと、大人は笑うだろうか?
当たり前のことを捕まえて何を言っているのかと、嘲るだろうか?
だが、ユミルは子供で、それだけのことであっても納得する為には時間が必要だった。かつて、リョウは言った。“他人を信じることを躊躇うのは普通だ”と。
そして、こうも言った。
『信じ合うってのはよ、ユミル、人間が他人を信じたいって思えて、実際に信じるって言うのが二人以上の人間の間で止まる事無く常に相互に循環する……つまり、心の繋がり……輪みたいなもんだってのは分かるよな?』
心の輪。その輪を輪たらしめる、他者と自分の心をつなぐ金具が、全ての人の中にある、その躊躇いを取り除くための物だと言うのなら、その金具の形は決して共通では無いのだ。そして共通では無い規格の金具を持つ相手に信じてもらうには、その相手の金具に合わせて行くしかない。
相手が何を考えていて、何を是として居て、何を否として居るのか。其れはどんなもので、其れに合わせる事が自分に出来るかどうか。
相手の事を考えに考え、それら全てをクリアして初めて、“信じ合う”と言う心理状態は成立する。
そう考えればあの時の自分が誰にも助けてもらえないのも当然だったと言えよう。相手の都合や心情を考えもせず、ただ一方的に助けてくれと鎖を伸ばしていたのだから、金具の合う相手が見つかるはずがない。
そして……それと同時にもう一つ、確かな事がある。
この世界で他人と信じ合うという事は、確かに難しい。だが……それでもこの世界には確かに、信じ合う事の出来る誰かが居るのだと言う事、そしてそうして信じ合う事の出来た人とのつながりは本当に、本当に温かいのだと言う事だ。
そう、人は信じ合える生き物で有り、温かい生き物である。それもまた、ユミルが己の“経験”から導きだした、確かな答えだった。
「……じゃあ、其れをリョウに伝えてあげて?大丈夫。きっと、喜ぶから」
「……うんっ!!」
ユミルが大きく頷く其れと同時に
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ