コラボ・クロス作品
戦士達×RoH
Roh×戦士達 《五話─人が信じ合う為に》
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ではルビーのもう一つの能力である、[パートナーとの解離距離無限]の能力を使って離れた安全な場所に居させておくか、或いは誰もいないと確信できるような場所でしか共に居られなかったルビーと四六時中一緒にいられるようになった上に、戦闘中に召喚しても霧にまぎれて何が居るのかは周りには先ず分からない。
かつ、その事を聞かれても「そういう使い魔なんだ」と言っておけば大抵の場合は隠し通せた。
濃霧の所為で視界が制限される為リーダーに誘われたパーティに入るのを別のメンバー断られること等も多々あったが、そう言う手合いは断りたいユミルに取っては寧ろありがたい。
最近では、この特異な使い魔の存在から[幻獣使い(ファンタズマ)]等と言う大仰な二つ名までささやかれ始めるほどである。
「だから、ルビーは大分安全なんだよ、あ、皆には秘密だよ?」
「う、うんっ!」
未だに衝撃が抜けきらない様子でコクコクと頷くサチに微笑んでいると、ルビーが首元に顔を寄せて来た。
「うん?どうしたの?ルビーって、わぁっ!ちょっ、ちょとルビー、止めて!くすぐったいくすぐったい!」
首元でもそもそと動いて甘えて来るルビーに笑いながらそんな事を言う。その様子を眺めて、サチは再び優しげに微笑みながら、言った……
「……よかった、ユミルもルビーも幸せそうで。リョウも、きっと喜ぶよ」
「え?」
何かを思い出すようなその言葉に、ユミルは小さく聞き返す。サチは何処か懐かしむような笑顔で、小さな声で言った。
「時々ね?リョウが、独り言言う時があったんだ。「彼奴等上手くやってんだろうな」「あの馬死んでねーだろうな」ってきっとこれって、ユミル達の事だったと思うの」
「あ…………」
小さく息を吐くように、ユミルは言った。申し訳なさに思わず俯く、が、サチは慌てたようにその先を続けた。
「だから、リョウが帰ってきたら、元気になったユミル達の姿を、思いっきり見せてあげて?きっとリョウには、其れが一番のお土産になると思うから」
「……うん」
小さく、ユミルが頷く。しかしその表情は相変わらず晴れてはいなかった。ルビーも気を使ったように、じゃれるのを止める。
「でも……だとしたらボク、リョウさんに本当に酷い事……」
「……でも、来てくれた」
「え?」
顔を上げた視線の先でサチは手を組んで真っ直ぐにユミルを見ていた。そしてまるで花がほころぶかのように、再びはにかむようなあの笑顔を浮かべる。
「時間がかかっても、君は此処に来てくれた。其れはきっと、君の中で見つかったって事じゃないかな?その時見つけられなかった、リョウを信じても良いって思える理由が……」
「……うんっ」
真っ直ぐに、ユミルはサチを見た。
人が人を信じ合う為に必要な事。その答えを、ユミルはずっと探していた、
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