コラボ・クロス作品
戦士達×RoH
Roh×戦士達 《五話─人が信じ合う為に》
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不安そうな表情を浮かばせた。
「でも、それならルビーは今は何処に……」
「え?あぁ……それなら、いるよ?今もちゃんと、ボクの後ろに」
「えっ?」
言われたサチは意味を良く理解できないまま、何処にいるのかと目を点にしてキョロキョロと当たりを見回す、何処となくコミカルなその様子にクスクスと笑いながら、ユミルは明るい声で言った。
「ごめんね、今は見えないんだよ。待ってね……出て来て!ルビー!」
「!?」
其れは唐突な出来事だった。
家の中だと言うのに、突然白い煙……霧が、サチの視界に立ちこめ始めたのだ。其れも当たり一面と言う広い規模では無い。ユミルを中心とする、ごく限られた範囲にだけ其れは発生し、まるでユミルを取り巻くかのようにくるくると渦を巻く。
困惑しながらその様子を眺めるサチをよそに、ユミルは楽しげな笑顔でその霧を見ている。
霧はやがてユミルの後方でまるで雲のように集まり、凝縮すると、一匹の四足動物のシルエットを形作った。やがてその頭に当たる部分に、涙敵方の、やや鋭い朱い光が浮かび──霧が晴れた。
「紹介するね、サチ。ボクの相棒、ルビーだよ」
「わ、ぁ……!」
其処に居たのは、まるで今其処へ走り込んだばかりのように虹色の軌跡を引いた、仔馬の姿から一回り程成長した純白のユニコーンだった。
サチの反応が楽しいかのように小さく微笑んだユミルの後ろで、真っ直ぐに此方を見たその姿は、まさしくしてユミルの守護聖獣と呼ぶにふさわしく、サチは三十秒ほどその姿に目を奪われる。
ミストユニコーン、ルビーと再会を果たしたユミルが初めに選んだ道は、単純にして明快。自身とルビーの、徹底的な強化だった。
本来、ユミルはあまり争い事や暴力を好む性格では無い。だが今回リョウとの出会い、そして協力から、彼は幾つもの確かな事と、不確かな事を学んでいた。その中で確かな物の一つは、自分には間違いなく“力”が必要なのだと言う事だ。
例えば、またルビーを狙う輩が現れたら?
例えば、ルビーと共に危険なダンジョンなどに入ってしまったら?
例えば、また、ルビーを死なせてしまうような事があったら……?
その時は、もうリョウには頼れない。自分だけの“力”で、何とかするしかない。
例えそれを好くにしろ嫌うにしろ、“力”が必要な状況と言うのは、この世界で生きている以上、何時かは確実にやって来るのだ
ルビーの、この[全身霧化能力]は、そんなユミルの力を得る過程で発生した副産物だった。
全身を霧化して空気中に溶け込む事で完全に姿を隠し、必要な時にだけ濃霧にまぎれて一瞬だけ姿を現して攻撃したり、支援したりしてくれる。
本来、普段から主の傍に姿を現し続けている使い魔にあって、異例な程の特殊能力。これが、本当に役に立った。
何しろ其れまでは人前
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