コラボ・クロス作品
戦士達×RoH
Roh×戦士達 《五話─人が信じ合う為に》
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小さな心臓の音が、すぐ近くから響いてくる。
抱きしめたルビーが、ボクの髪の中に顔をうずめ、音にならない声を上げる。
もう、絶対に離さない。
ニ度と手放すもんか。
心の底からそう思いながら、ボクは目尻に浮かんだ涙をふくこともしないで、じっとその温もりを身体にしみこませていた。
そんなボクの背中に……
「おう、感動の再会は済んだか?」
「ッ……」
低く、優しげな、リョウさんの声が響いた。
けれどその瞬間だけは、其れまで安心と力をボクに与えてくれていたリョウさんの声は、ボクの心に怯えと、不安を垂らした。
さっきまで抱いていた嫌な予感が、胸の中で風船のように膨れ上がっていく。あり得ないと思っている筈なのに、その疑念が、疑問がボクの中から消えてくれない……。
「……さて、と、これで契約は履行したな」
「え……?」
不意に、リョウさんが淡々とした調子で言った。と、ボクの後ろで何かが地面に落ちる音がする。ゆっくりと振り返ると、其れは転移結晶だった。
「此奴はアフターサービスみたいなもんだ。此処はまだMobがわかねぇから良いが、一人でお前がこんなとこ歩いたら使い魔共々即死っつーのは変わらん。そいつはやるから、どっかの街に適当にどっかの街に飛べ。それと……」
言いながらリョウさんは懐に手を入れて中から一枚の紙切れを取りだした。
「此奴が今回の経費だ。明日、今日と同じ酒場にエギルに来てもらうから、そんときに彼奴と連絡先交換して、以後は彼奴通じて経費は払え。OK?」
「あ……う、うん……」
たたみかけるような言葉に、ボクは曖昧に頷く。急に話が進んだので、頭が追い付かない。けれどそんな事はお構いなしに、リョウさんははっきりと言った。
「んじゃ、これでお前とはひとまずの手切れだ。ま、精々そいつを守りきって暮らすこったな……あばよ」
「え?え、ち、ちょっとまっ……!」
「転移。アルゲード」
有無を言わさないまま、リョウさんは自分の握った転移結晶の効果を使って、ボクの前から姿を消した。其れはあまりに一方的で、別れの言葉や、お礼すらまともに言わせてもらえなかったボクはその場に数秒の間立ちつくす。
それから、ようやく頭の整理が付いて、リョウさんを追い掛けようと転移結晶を取ろうとして、はたと気が付いた。
リョウさんの言っていた《アルゲード》は、現在の最前線の第50層の主街区の名前だ。最前線の主街区は、殆どの時間で……例え今の時間であっても、其れなりの人数の人々が行きかう。特にアルゲードは深夜に営業しているNPCショップも多いため、よりその傾向が強い。逆にいえば、そう言う場所だからこそボクもボクを助けてくれる人を探すためにあの場所を選んだのだ。
だが今ボクがアルゲードに転移してしまったら、ボクに付いてくるルビー
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