コラボ・クロス作品
戦士達×RoH
Roh×戦士達 《四話─救ってやるよ》
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クには見えたから。そしてボクが見た物が嘘では無い事を証明するかのように、それは不意に、まるで早回しのビデオのように成長をし始めた。
「おぉ……」
「ぁ……」
双葉が徐々に葉をつけ、伸び上がり、白く小さな蕾を付ける。その蕾がプックリと膨らんで、やがて……開いた。
「……!」
シャランッと、音を立てて花が開いたその光景を、息を呑みながらボク等は見ていた。其れはあまりにも綺麗で幻想的な、一輪の花の誕生だったから。けれど、そんな硬直も一瞬。ボク等は急いで駆け寄ると、その花に触れた。その花は茎がぷつっと小さな音を立てると、花の中に小さな水滴を溜めたまま、ボクの手の中に収まる。
表示された名前は……
「プネウマの花……」
「っ!ビンゴだ!」
「えっ?」
不意に声を上げたリョウさんに、ボクは素っ頓狂な声を上げた。目を見開いたままで、リョウさんがボクに向かって大声で言った。
「ユミル!心は持ってるな!?」
「えっ!?う、うん!」
「その花の中にある滴を心アイテムに掛けろ!っ、早くしろ、時間がねぇ!」
視界の端にある時計を見たのだろう、リョウさんは明らかに焦った様子でそう言った。そう。もう時間は23時59分。タイムリミットはもう……!
「……っ」
焦りながら懐からルビーの心を取りだしたボクは、震える右手の中のプネウマの花に溜まった滴を、取りだした心に其れを振り掛けようとして、固まった。
「…………!」
心臓の音が、やけに大きく聞こえて、頭の中にあの時ルビーを殺した奴らの顔が浮かんだ。
ボクの使い魔、ルビーは、ミストユニコーンと言う大量のアイテムと経験値をもたらす、この世界でも本当に希少なモンスターだ。そのせいで、出会った翌日に、ボクと行動を共にしていたレイドパーティのメンバーによって、惨殺されてしまった。
あの時の彼等の表情を、その顔に映って居た感情を、ボクは今でも、今この瞬間ですらはっきりと覚えているし、思い出せる。あの、憎悪と、嫉妬と、嫌悪感と、そしてそれらの原因であるボクと、ルビーを踏みつけたことによるものだろう、ある種の快楽を浮かばせた……それらを隠そうとすらしなかった、あの顔を……
……もし、今この場でルビーを蘇生したとして、リョウさんが、彼等と同じ行動に出たら……?ボクには、絶対にルビーを守り切れない確信がある。けれど、問題なのは其処では無い。もし、もしもリョウさんにそんな事をされてしまったら……あの時の彼等の表情を、リョウさんが浮かべたりしたら……ボクはきっと……
「なにしてる!?早くしろっ!」
「ッ!」
リョウさんの怒鳴り声で、我に帰る。そうだ、それは、今考えるべき事じゃない。今僕がすべきことは……もうすでに決まってる。
傾けた花の中心から零れ落ちた透明な滴が、残された小さな
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