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SAO‐戦士達の物語《番外編、コラボ集》
コラボ・クロス作品
Roh×戦士達 《三話─Flower:Snow drop》
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理由》に“利益”を当てようとする人が、ユミルにとってはこの上無く怖かったからだ。理由など考えるまでも無い、そう言った利益の追求の先にあった物こそ、あのおぞましい光景だったのだから。
……きっと人は、吐こうと思えば、笑顔で嘘を吐く事が出来てしまうのだろうと、ユミルは思い始めていた。其れは勿論無意識下の事だ。けれど実際に彼の友人である使い魔は、その前日まで自分たちに笑顔を向けていた人間に殺された。其れを受けてもまだ、一欠片の疑いも無く人を無条件に信用できるほど、ユミルとてお人良しでは無い。……いや、あるいはお人よしでは有るのかもしれない。その本心に、本人はまだ、気が付いていないのだから。

しかしそうして理由なき善意を求めている癖に、同時にユミルは、リョウの善意に理由を求めようとしている。
彼にとっては、其れは矛盾だった。理由なき善意を求めながら、その善意に理由を求めていたのだ。

彼にはまだ結論を出す事の出来ない答え……それもまた、ユミル自身の奥底に眠る、疑念の一部だ。詰まる所、怖かった。他の誰もが自分を救おうとしなかった中で、どうして彼だけが自分を救おうとしたのか。どうして、其処まで自分に手を差し伸べてくれるのか。どうして、其処まで無償の善意を注いでくれるのか。余りにも、リョウと他の人々の行動には、違いが有った。「人を信じたい」と思う一方で無意識の内に「人はうそつきだ」と思っているユミルに取って、其れは未知であり、未知はつまり……恐怖だった。

「なんで、ねぇ……ちなみにお前は何でだと思うのよ」
「えっ……と……」
そう言われると困る。何しろ理由など本当はあって欲しくない位だ。強いて言うなら……

「か、可哀相だから……?」
「は?」
うわっ!?恥ずかし!?と内心でユミルは自分の言葉に悲鳴を上げた。自分の事を指して可哀相とか何様だ。自意識過剰か。

「じ、じゃなくて、あの……えと……!」
「はー、可哀想ねぇ。まあ確かに見れたもんじゃない状態ではあったわな、マントはボロボロ、顔は見えない、声はかすれ気味、ぱっと見死神か地縛霊にみえたぜあんときゃ」
「ひ、ひどいよ!……否定出来ないけど」
うぅ、と口を尖らせ落ち込むユミルを見て、リョウは楽しげにうはははと笑う。
それから、ふと思い付いたように聞いた。

「つーか、それ言ったらそもそもお前なんであんな頑なに顔隠すような真似してたんだよ」
「そ、それは……」
「言っちゃ悪いがお前の顔、そーとー他人惹きつけるぞ?素顔晒してりゃ、彼処までボロボロに成らなくても助けてくれる奴の一人や二人くらい見つかった筈――「それじゃだめなんだよ!!」だ……と?」
突然声を荒げたユミルに、リョウは驚きつつまたしても立ち止まって彼の方を見る。ユミルはと言うと、叫んでから気がついたらしく、自分
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