コラボ・クロス作品
戦士達×RoH
Roh×戦士達 《ニ話─買い物にて》
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2024年1月2日19:53
ボクは今、第五十層の迷路のような街の中を、今日出会ったばかりの男の人に連れられて歩いている。
つい一時間位前まで……この層の転移門広場で、倒れて、枯れた声を上げていたボクを救い上げて、食べ物をくれて、希望を……救いをくれたのは……本当にたまたま通り掛かっただけの、それこそ、白馬の王子様でも無ければ勇者でも英雄でもなさそうな、どちらかと言えば、粗雑そうな印象すら受ける、この世界では珍しい和服を着た、ボクより一、二回りくらい年上の、男の人だった。
名前は、リョウコウさんと言うらしい。でも長いから、皆リョウと呼ぶと言われて、ボクにも好きに呼べと言ってくれたので、ボクも同じように呼ぶ事にした。
ボクの目的を話した時、初め、リョウさんは「無理だ」と言った。きっとその意見は正しくて、しかもボクの事を案じてくれてもいたのだと思う。
しかしそれでも、ボクはその言葉が悲しかった。其れはつまり、ルビーを死なせろと言われたのと同じ意味だったからだ。だから、本当はリョウさんが正しいと分かっていた筈なのに、ボクは駄々をこねてしまった。
みっともなく泣いて、無理を押してくれとリョウさんに叫んで、怒られて……きっと、本当にリョウさんにとっては迷惑だったんだと思う。けどそれでも、どうしてもルビーを、ボクに取っての、生まれて初めての本当の友達を諦めたくなかった。
其れに……あの時、本当に心から人を疑ってしまった時……ボクは本当の意味で、自分が怖かった。
きっとあの時ボクは、ボク自身の心を殺しかけて居たのだと思う。
そう確信してしまうくらい、周囲の全てが、ボクの事を根幹から塗りつぶそうとして居た。ボクは、今この瞬間でもその恐ろしさをはっきりと思い出す事が出来るし、きっとこれから先、ずっとそうなのだろう。
けれどその中から、この人はボクを救い上げてくれた。偶然でも、気まぐれでも構わない。ただ、あの暗さから、あの冷たさから、あの寒さから、ボクを救い上げてくれた。
それだけで、ボクに取っての彼は、本物の英雄だった。だから……だからその人に[不可能]だと言って欲しく無かったのだと思う。
勝手だとわかってる、迷惑だと分かっている。けれどそれでも……やはりどこかで、僕はリョウさんに期待してしまって……もう一度この人が、ボクを助けてくれるのではないか……僕等を、救い上げてくれるのではないかと、そう思ってしまった
その結果……ボクの我儘な願いが叶ったのかは分からないけれど……それでも、リョウさんはもう一度、ボクに手を差し伸べてくれた。手を貸してくれると言ってくれた。
それから少しして、今、ボクとリョウさんは目指す場所へ向かうための準備のために、第50層をひたすら歩いている……
「多分この辺の筈なんだよな……」
大通りから
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