コラボ・クロス作品
戦士達×RoH
Roh×戦士達 《一話─始める為の出会い》
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ような、擦れて、霞んで、引き裂くような、けれど何処か響き渡るような、そして何よりも、悲痛な音。
その響きが余りにも耳に残ったせいなのか、あるいは唐突過ぎで不意を突かれた為なのか。いずれにしても、「気のせいか」という結論に至るよりも早く、リョウは周囲を見回していた。
「…………」
とは言え周りにいるのは人、人、人。この人込みでは、本当に気のせいなのかそうでないのかすら定かでない音の発生源を突きとめるのは相当に難しいだろう。
結局のところ、周囲を見渡した所でたどり着く結論は一つ。
「……気の所為か」
そう言って最後の一文を掻き足し、メッセージを書き終えると、送信ボタンを押してリョウは転移門に向けて歩きだす。返信はそれ程時間もかからず来るだろう。買い物をするにしろ、まだよく知らないこの迷路街よりも下層にいく方が確実だ。
「ん〜、んんん〜、ん〜ん〜♪」
軽く鼻歌を歌いながらリョウは広場の中央に向けて歩いて行く。やや上機嫌なのは、強いて言うなら夕飯が近いせいだろうか、基本的に毎日美味い物しか作らないので、サチと生活するようになってからはホームに戻るのが楽しみになりつつあるリョウである。既に頭の中はシチューでいっぱいだ。と、そんな彼の耳に、
『なぁ、あれ見たか?』
『あぁ、なんだよあのボロボロの。気味わりィ……』
「?」
こんな言葉が届いた。ふと耳を澄ましてみると、ところどころから似たような調子の、やや不快そうな声が聞こえる。
『なんであんな所に?』
『大みそかから居たぞ……?』
『何か言ってなかった?』
『使い魔がどうとか』
『知らねえよ。自分で何とかしろよ』
『いきなり叫んでたよな』
『まだ居たのかよ』
『不潔だよね』
『気持ち悪い……』
『怖い……』
『変……』
『どっかいけよ……』
こんな具合である。何やら彼等の不快感を煽る何かがこの層にはいるらしい。
『なんだぁ?』
首を傾げて、リョウは軽く左右を見た。既に広場の中央付近だが、相変わらず……いや、だからこそと言うべきか、人混みが途切れる気配は無い。転移門前に来たお陰か、いささか人々には間が有るが、それでも特に何かおかしな物が見える訳では……
「……ありゃあ……」
否。一つだけ、妙なポイントが有った。と言ってもリョウからは何も見えはしない。ただ、その位置だけ人が明らかに避けて通っている部分が広場の中に一カ所ある。もしかすると、平均的なゲーマーと称される人よりやや背の高いリョウで無ければ気が付くことすら無かったかもしれないほどの小さな人口密度のポケット。其処に、何かが有るのだろうか?
「…………」
何故だか其れが妙に気になって、リョウはその場所へと歩いて行く。
ただ、近づいてゆく自らの行動と矛盾していると知りつつも同
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