コラボ・クロス作品
戦士達×RoH
Roh×戦士達 Prologue
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る……が、それが、可能な道理は無かった。
子の価値観は、親に依存する所が大きいのは周知である。
親の教育や指導は、子の思考や価値観を定める上で、非常に大きな意味を持つ。
その点で言うならは、この子供の両親は、非常に温かい物を彼に受け渡したと言えるだろう。……だが、それらを一瞬で塗り替えてしまえるほどに、個としての価値観を強烈に決める物が有る。……即ち、経験だ。
自らが経験した事は、他のどんな事よりもその個としての価値観や思考を強烈に決める効果を持つ。ならば其れは、自らが身をもって経験した絶対的な真実であり、人から聞いた、あるいは教えられたどんな知識や価値観よりも、明瞭で、すぐ其処にあるからだ。
そう考えてしまえば、彼の価値観が今、崩れ去ろうとしている事はある意味、当然の帰結と言えた。
何故ならこの子供の価値観や理念はあくまで親から受け取った物。彼はまだ、その本当の意味をよく知りもせずに、ただ盲目的に親の教えた価値観に従っていただけの、一人の子供にすぎなかったのだから。
そしてその脆い価値観を今、経験した底の無い人間の悪意と冷たさが、粉々に砕き、押し流していく……
「ち、ちがっ……だれかっ、たすけっ……」
自分を呑みこみ、塗りつぶそうとする、暗く冷たい、深い深い思考の激流の中から、彼は必死に助けを求めて手を伸ばす。
誰かが、あたたかな手を持つ“誰か”が……この手を引き上げてくれる筈だと、そう信じているから。
「お願い……誰かっ……!」
寒い、苦しい、悲しい、冷たい、冷たい……!冷たいっ……!!
そう思いながら、自らの信じた物がゆっくりと、しかし確実に破壊され、押し流されて行く感覚を味わい、一人の子供の心が、確実な速度を持って、絶望と言う深い深い暗闇に、塗りつぶされて行く……
「――だれか助けてぇぇえええっ……!!!!」
伸ばした手を取る者は無く、人々はその奇妙にかすれ、喉を引き裂くような声を聞いて、更なる不快感と嫌悪の目と共に、彼から離れ……
「────……ん?」
──届いた──
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