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SAO‐戦士達の物語《番外編、コラボ集》
コラボ・クロス作品
戦士達×ツインズ
おまけ!その二
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「どぞ」
「あら、ありがとう」
片割れをリョウが差し出すと、マーブルは耐久値が切れない内にと受け取る。
そして二人同時に、それをかじった。

「「…………」」
暫く無言で咀嚼し……

「みかんだな」
「みかんね」
同時に言った。

「こりゃすげえ。ははっ、マジでみかんじゃん」
笑いながら言ったリョウの正面で、マーブルは驚いたように口の前に手を置いている。

「びっくり。本当に、これはみかんだわ……しかもとってもおいしい……」
確かに、実は締まり甘味が強く、しかしみかんらしい爽やかな後味と特有の酸味は残っている。
どう味わっても……みかんだった。

「SAOの愛媛みかんとでも名付けますかね」
ニヤリと笑って言ったリョウに、マーブルはクスクスとわらう。

「それは良いかも知れないわ。じゃあこれを使って、みかんタルト、作りましょうか」
「お願いしまーっす」
言いたかった事は、言葉にせずとも伝わったらしかった。

ニコニコ顔で、リョウが取り出した数個のミオレの実を受け取ると、マーブルは奥の厨房へと引っ込む。

「……ふぅ……」
ハーブティーをもう一口。と……

「ん……」
部屋の隅で変わらずジャズを流し続けるスピーカーが、目に入った。

――――

「……あら?」
マーブルが作業をしていると……ふと、彼女が今日店に流しているものとは違う曲が、耳に流れてきた。

ジャズである事に変わりない。しかしそれは、現実の世界では良く知られた大衆曲。明日への希望を歌った、とある歌。それを、だれか……恐らくはあの青年がアルトサックスの音で緩やかに奏でていた。

軽い調子で流れて行く曲調は、どこか飄々としていて、奏者の人格を表しているような、そんな音が聞き取れる。

今日も疲れを癒し、明日も元気に歩むために。宿は、泊まる者の、心と、体を癒す場所。

陽気に、楽しく、気張らず、落ち着いて。

ジャズが元来大衆を元気づけ、楽しませるための音楽であるように。

宿もまた、訪れる人を癒し、元気づけるためにあるのだ。

流れて行く音楽を聴きながら、マーブルは楽しげに、体を揺らした。

────

「上手ね、楽器(それ)
「おわっ!?なんだ居たなら言って下さいよ……」
「だめよ、声掛けたら途中で終っちゃってたでしょう?最後まで聞きたかったもの」
「光栄っす」
ころころと笑いながら言ったマーブルに、リョウは苦笑しながら答える。

「で、どうですか?タルト」
「色々考えてみたけど、やっぱりシンプルな方が良いと思って。こんな感じになったわ」
そういって彼女がリョウの前に出してきたそれは、いうなれば、オレンジ色の巨大な輝きだった
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