三十八話:素顔
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!?」
思わず叫び声を上げ助けに行こうとしてしまうスバル。だが、戦闘中にそのような行動をとれば相手の思うつぼだ。今までは手を抜いていたとでも言うように流れるような無駄のない動きで男はスバルの脚の健のある場所をナイフで切断する。
脚に力が入らなくなり為すすべなく膝をつきながらスバルは悟る。男が見せた隙とは相手を罠にはめるために創り出した意図的なものだったのだと。自分達は僅かな隙を突くことで相手に行動と作戦を教えてしまったのだと。
「エリオ君! スバルさん!」
「キャロ、今は敵に集中しなさい!」
大切な仲間が立て続けに傷つけられたことに取り乱しそうになるキャロを抑えながらティアナは照準を男に合わせる。ティアナとて内心は怒りと動揺でどうにかなってしまいそうであるが、今は敵を倒すことに集中する。幸いにも敵はこちらを殺さないと宣言している。現にスバルは丁寧に足だけを切られている。
そこから考えればエリオも生きている可能性が高い。そう、信じるようにしてティアナは引き金を引く。多重構造のオレンジの光弾は真っすぐに男を目がけて飛んでいく。その速度は直線的であるがゆえに速い。既に生身の人間に避けることのできる距離ではない。そう―――常人の倍以上の速さで動けなければ。
「固有時制御――三倍速」
突如として掻き消える男の姿。自分の目がおかしくなったのかと一瞬瞬きをするティアナ。そしてもう一度目を開いたときに目の前に見えたのは姿が確認できないほどの速度で自分達の下へ移動してきた男の姿だった。
「まずい! 逃げ―――」
「られるとでも思っているのかい?」
肉体を撃ち抜かれた焼けるような痛みが足から脳まであっという間に届く。男もAMFから出たことで魔法の使用が可能となり自らのデバイスで撃ってきたのだ。しかし、まだ自分には手が残っているとティアナとキャロは歯を食いしばって男に反撃を行おうとする。だが――――
「その気合は認めるけど、既に君達は積みだよ」
その手も容赦なく撃ち抜かれる。吹き出す血が少女達の顔を染めるのを無表情に見つめながら男は作業的にバインドで二人を縛り上げる。そしてAMFを解き一ヶ所に集めるためか二人を運び、残る二人の下に向かう。
「……地雷は最後って言ってましたよね。あれは嘘だったんですか…?」
「クレイモア地雷はあれで最後だった。魔法の方は何も言っていない。嘘はないよ」
「くっ……」
戦闘を開始する前に『クレイモア地雷も今ので最後だ』という発言をしていたことを尋ねるティアナであったが詐欺まがいな回答を返されギリリと歯ぎしりをする。相手は最初からこちらが取るであろう作戦は全て予想していたのだ。それに敢えて
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