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八神家の養父切嗣
三十八話:素顔
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いうものである。 理論としては外部の膜状バリアが相手フィールドに反応してフィールド効果を中和、その間に中身をフィールド内に突入させるものである。

 言うのは簡単だが扱うのは中々に難しく大量の魔力消費に精密な魔力制御が要求される。さらにただのガジェットが纏うAMFと違い今回は半径百メートルにまで距離が取られている。その中を突き進ませるために外殻の膜状バリアは最低でも四層は作られているはずである。それでも一度の攻撃で消えてしまう程度しか魔力は残らないのか光弾は塵のように消えていた。

 だが、こちらまで攻撃は届くのだ。それが与える戦略的優位性は計り知れない。男はナイフをもう一本取り出しながら遠くで構えるティアナとキャロを睨む。キャロの補助により威力を上げているのだろうがティアナの額には大粒の汗が見られる。しかし、その顔はこちらが優位に立ったことを確信しているのか僅かにではあるが笑っていた。

「末恐ろしい子達だ……本当に」

 感心したような声を出しながら男は再び隙の無い連携で攻めてきたスバルとエリオに対処する。しかし、今度はティアナとキャロの攻撃にも注意を向けなければならない。四人を相手にいつまでも完璧な防戦ができるわけがない。

 ついに男は一瞬ではあるが足を震わせ体を傾かせ隙を見せる(・・・・・)。そこへエリオとスバルが攻め込んでいく、かと思われたがエリオは攻撃するのではなく男の脇をすり抜けるように駆け出してく。

「ほう、あくまでも僕を抜いて隊長格にデバイスを届けるのが目的か」
「そう、隊長達のデバイスは全部エリオが持ってる。きっとすぐに隊長達を連れて戻ってきてくれる! そうしたらあたし達の負けはない!」
「まともに戦わずにあくまでも防戦に徹する。勝てないのなら負けない策を立てるか、悪くない」

 足止めを破られたというのに全く抑揚を変えない男の声に有利に立っているはずのスバルは何か嫌な予感を覚える。それと同時に男の声をどこかで、遠い昔に聞いたことがあるような胸騒ぎに襲われる。

 一体自分の心はどうなっているのだと思いながらスバルは後少しでAMF内から抜け出すところのエリオに目をやる。後、一メートルで抜ける。だと言うのに男はまるで何の問題もないとでも言うように振り返ることもしない。何かがおかしい。気を付けてとエリオに声をかけようと口を開いたところでエリオがAMFのフィールドから一歩足を踏み出す。


「言い忘れていたけど、AMFを出た所には―――魔力で作った地雷が山ほどあるからね」


 爆音が壁を揺らし、聞く者の鼓膜を破らんと激しく吠えたてる。火炎は大きくその口を開き、少年を呑みこんでいく。まるで呑み込んだ少年を噛み砕き味わうように、爆発は一度に留まらずに連鎖して続いていく。

「エリオ―――ッ
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