三十八話:素顔
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易に攻めることが出来ないのだ。
チラリとこちらから去っていくティアナとキャロを見つめ思考を巡らす。後ろに逃げたところで隊長達と合流するにはここを通らなければならない。さらに言えば彼らはノーヴェとウェンディが元居た場所を去ったことを知らない。そうなれば必然的に挟み撃ちのプレッシャーもかかってくるはずである。
(だが、そうは見えない。まだ、何か策があるのか? それともあちらから隊長達以外の救援が来ているのか……いや、今考えることじゃないな)
エリオとスバルの攻撃を最小限の動きで躱しながら男は考える。そもそも自分の目的は隊長達との合流を遅らせること。最大戦力を他の戦場に回さないのが自分の役目だ。できれば捕らえて研究所に招いてほしいと言われているがスカリエッティの願いなど叶えてやる必要はない。少しでも余裕がなくなれば実行する気などない。
(このまま避け続けて時間を稼いでもいいが……少々反撃させてもらおう)
一拍の間も置かぬ完璧な連携の前に手を出せないと思わせてもあまり意味はないだろう。ここで反撃をした方が相手の焦りを誘える。そう考え男は反撃に出るための一手を打つ。接近戦では役に立たないキャリコを手放しちょうど膝下の高さにいるエリオの目の前に落下させる。
突如として目の前に銃器が飛んできたために反射的に顔を反らすエリオ。そこにできた隙は微々たるものであった。だが、戦闘においてはその隙は余りにも大きい。連携に生じた一瞬の空白を逃がさず男は大型のナイフを取り出すと共にエリオへと斬りかかる。
「くっ!?」
「上ばかり見ていても仕方がないぞ」
ストラーダを盾にしてナイフの一撃を防ぐエリオであったが間髪を入れずに放たれた蹴りを足に入れられてよろめく。そこへ止めを刺すために男が一歩踏み込もうとするがそんなことはスバルがさせない。ローラーブーツを穿いた足で顔面に向けて蹴りが繰り出される。
「もう、あたしの前で誰も傷つけさせない!」
「……覚悟は認めるが、まだ力が伴っていないな」
体を無理矢理動かして後ろに大きく飛びながら男はナイフをスバルの軸足目がけて投げる。蹴りの反動を一手に支える軸足は動かすことが出来ない。エリオのカバーも間に合うことはない。間違いなく当たると男が確信した時、ナイフはオレンジ色の光弾によって弾き飛ばされた。
「ありがとう、ティア!」
「なに!? なぜ、魔法が……いや、そうか。AMFの範囲外に出てヴァリアブルシュートを使ったのか。これだけの距離を移動させるには四層は必要だろうに、よくやるよ」
本来使えないはずの魔法による攻撃が現れたことで動揺を見せる男であったが種が分かるとすぐに冷静さを取り戻す。ヴァリアブルシュートはAMFを突破する外殻の膜状バリアでくるんだ多重弾殻射撃と
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