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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第十二話 信頼の昼
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、驚いたようにフェイトの全身が跳ね、更に目を大きく見開いた。

 それが動揺なのは俺じゃなくても分かるほどで、同時に彼女の顔は先ほどとは真反対に青ざめていく。

 言葉にしなくても、それが正解であるいうことを意味しているのは分かる。

「……分かった、ごめん。 イヤなこと、思い出させちゃったな」

 だから俺はフェイトの返事を待たず、謝罪した。

 今度の土下座に、フェイトは謝罪で返したりはしなかった。

 むしろ、

「ううん。 その、ありがとう……気を使ってくれて」

 どこか安心したように微笑んでくれた。

 無理に作った笑みだったけど、嘘偽りのない感謝の笑みなのだと思う。

「……遅くなったけど、昼飯にするか」

「うん」

 俺はゆっくりと立ち上がり、台所へ向かう。

 途中、フェイトの頭を撫でて、なるべく優しい声でそういった。

「え……あぅ」

「大丈夫だから。 俺が、何とかするからさ」

 驚きの声を上げつつも、撫でられることをフェイトは許した。

 目を細め、嬉しそうに受け入れるその姿は、年頃の女の子らしい可愛さがある。

 本当に妹がいたらこんな感じなのかな?

 なんて思いながら、俺は改めて台所へ向かう。


*****


「大丈夫……か」

 彼の言葉を思い出しながら、彼に撫でてもらった頭に触れる。

 まだ微かに残る感触は、すごく心地よくて、受け取った言葉は嬉しくて。

 私は彼に、色んな感情を抱き始めていた。

 怒りや殺意みたいな沸騰するような感情じゃなくて、微熱のような感情。

 ほんのり温かくて、心地よくて……だけど、まだ物足りないって思うようなもので。

 不快感とは違う感覚は、私の人生で初めてのものだった。

「小伊坂、黒鐘……」

 ボソッと、彼の名前を口にした。

 この世界で出会った、不思議な少年の名前。

 ふと私は、彼に出会うまでの今までを思い出す。

 今まで、母さんに色んなことを頼まれて、色んな世界を訪れた。

 短期間だったけど、濃密な日々だったと思う。

 色んなロストロギアや発明品、骨董品を盗んだりしてきた。

 母さんに頼まれていたことだったけど、持ち主のことを思うと罪悪感があった。

 旅を繰り返して、色んなものを持ってきたけど、母さんが満足な顔をしたことはなくて。

 むしろ遅かったからとか、目的のものじゃないからって理由で暴力を受けた。

 私の身体の首から下、主に背中を中心に広がる傷の殆どは、母さんが鞭を叩きつけた痕だ。

 治癒魔法を使える人が身近にいないから自然治癒に任せてるけど、痕は呪いのように残ってる。

 彼に色んなこ
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