1部分:第一章
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」
「他にあったっけ」
「歌上手いじゃない」
「カラオケ好きだから」
「お笑いもできるし」
「子供の頃から吉本とか観てたしね」
「お芝居上手いし」
「高校の頃演劇部だったから」
彼女は次から次に答えていく。実に淀みない返事であった。
「それだけのものがあるのよ。だから選んだのよ」
山本の言葉は異様なまでに力がこもっていた。
「奥田恵理香」
そして彼女の芸名を呼んだ。本名でもある。
「期待しているのよ、絶対にやれるって」
「けれどオーディションも何となく受けたものだし」
本人はあまりやる気のない仕草で頭をかきながら述べた。
「それにマンションで暮らせるって聞いて喜んで事務所に入ったのに。詐欺よ」
「マンションじゃない、しかも都心の立派な」
「山本ちゃんと一緒じゃない。何でよ」
「当然でしょ。タレントの健康管理の為に」
山本は毅然として答える。
「一緒にいないと。あんた唯でさえ自堕落なんだから」
「あたしは伸び伸びとしたいのよ」
「伸び伸びしてたらあっという間に太るわよ」
「別に太ってもいいし」
「あんたはよくても私はそうはいかないの」
声が厳しくなった。
「タレントなんだからきちっとしなさい」
「別にタレントじゃなくてもいいんじゃ、それじゃあ」
「文句言わない。さあ、早く起きなさい」
「はぁい」
言い合いは山本の勝ちであった。恵理香は仕方なくベッドから出る。そしてまずは赤いジャージの上下を着た。山本はその横でカッターを脱いでいた。白いシックな下着姿で彼女もスレンダーないい身体をしていた。
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