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レインボークラウン
第三百十九話

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             第三百十九話  宝石を売って
 小田切君は博士に宝石を貰った、そのうえで宝石を売るとだ。
「凄かったですよ」
「どれだけになった」
「一億いきました」
「ほう、それだけか」
「はい」
「何じゃ、それだけか」
 これが博士の返事だった。
「ではもう少し出そうか」
「いや、いいですよ」
 とんでもないという返事だった。
「一億もあったら」
「たった一億ではないか」
「一億もですよ」
 それこそという返事だった。
「一億もなんですよ」
「だからたった一億ではないか」
「あの、博士って」
 小田切君は博士を驚きの目で見つつ言った。
「お金は」
「お金は使うものでじゃ」
 しかもというのだ。
「生み出すものじゃ」
「錬金術で」
「そうじゃ」
 まさにというのだ。
「そうして生み出すものじゃからな」
「一億もですか」
「一瞬じゃ」
 一瞬で生み出せるだけのものでしかないというのだ。
「百億でも千億でもな」
「錬金術って凄いですね」
「金は使うものじゃ」
 またこう言った博士だった。
「幾らでもな」
「じゃあ生み出したお金は」
「どんどん使っておる」
 何一つとして隠すことのない返事である。
「研究に開発にな」
「これまでの数多くの研究、開発も」
「一億なんぞ何でもないわ」
「だから僕にもこう言うんですね」
「また同じだけ宝石を出すぞ」
 やはり何でもないという返事だった。本当に金銭というものに重要な価値を感じていないからこそ言える返事である。
「どうじゃ」46
「ですから遠慮します」
「一億ぽっちでか」
「一億もですよ」
 それこそと言う小田切君だった、このことは変わらなかった。


第三百十九話   完


                     2016・2・28
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