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ドリトル先生北海道に行く
第六幕その三

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「この北海道の蟹は美味しいんだ」
「こうしてだね」
「美味しいんだね」
「幾らでも食べられる」
「そうしたものなんだ」
「そうだと思うよ、ロブスターも美味しいけれど」
 それと同じくというのです。
「この蟹も美味しいね」
「毛蟹もね、いやこの蟹はね」
 王子も言います。
「外見は確かに厳しいけれど」
「それでもだよね」
「うん、美味しいね」
「甲羅は硬くても」
 トミーは器用にその甲羅の中から身を出しています。そして皆にその身を出しながら自分も楽しく食べています。
「その中にあるものは美味しいですね」
「そうだね」
「このお味噌とかね」
 王子は蟹ミソも食べています。
「卵まで美味しいよね」
「蟹は甲羅以外全部食べられるよ」
「そうしたものなんだね」
「だからいいんだよ」
「食べがいもあるってことだね」
「そうだよ」
「成程ね、その甲羅も」 
 王子は甲羅のことも言うのでした。
「食べられないけれど」
「それでも何かあるの?」
「その甲羅に」
「僕達は食べられない訳じゃないけれど」
「積極的に食べるものじゃないよ」
「この甲羅をお鍋に入れて茹でているからね」
 だからというのです。
「そこからダシが出ているんだ」
「あっ、そうなんだ」
「甲羅からダシも出るんだ」
「そうなんだ」
「そうした意味もあるんだ、まあこのお鍋は昆布から取ってるけれどね」
 そのダシをです。
「全く何でもない訳じゃないんだ」
「そうなんだね」
「この甲羅も」
「ただ邪魔じゃなくて」
「そうした意味もあるんだね」
「そうだよ、日本人は食材を無駄にしないから」
 それこそ一切です。
「甲羅も役に立たせてるんだ」
「日本人って食べることは特に無駄にしないね」
「それこそ何でも使うよね」
「それも最後の最後まで」
「無駄なくね」
「お魚の骨もダシに使うしね」
 お吸いものにです。
「鱧や鯛がそうだね」
「そうそう、鱧ね」
「鱧のお吸いものって最高よ」
「あんな美味しいお吸いものないよ」
「鯛に負けない位」
「凄くね」 
 そうしたものだというのです、先生は鱧のお吸いものも好物なのでお魚の骨からもダシが取れることをよくわかっているのです。
「身だけじゃないんだよ」
「お肉からダシが取れて」
「そして骨からも」
「いいダシが取れて」
「甲羅からもだね」
「そうだよ、じゃあ蟹もお野菜も食べて」
 勿論お豆腐や茸もです。
「そしてね」
「そしてだね」
「最後は雑炊」
「それを食べるんだね」
「そうしようね」
 実際にでした、先生達は。
 蟹やお野菜を全部食べてからです、次に。
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