第六幕その一
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第六幕 どちらの蟹か
北海道の旧庁舎で北海道の歴史を勉強してからです、そうして。
皆で、でした。北海道の夜の街に出ました。動物の皆はその夜の街の中を進みながらそのうえで先生に尋ねました。
「それじゃあね」
「これから蟹を食べるけれど」
「どの蟹にするの?」
「それで」
「これまで考えてきたけれどね」
少し腕を組んで答えた先生でした。
「一体どっちにするか」
「毛蟹かタラバガニか」
「どっちにするか」
「それをだね」
「考えてきたんだね」
「ううん、これまで考えてきたけれど」
お昼からです、それこそ地下鉄にいる時から。
「どちらの蟹にしようかな」
「要するに今日はどの蟹を食べるかだね」
王子はここで先生に言いました。
「どの蟹か」
「そうなんだよ」
「そういうことだね」
「どちらの蟹も美味しいよ」
このことは間違いないというのです。
「だからどちらをというと」
「それがだよね」
「難しいね」
「じゃあいっそのことね」
ここで王子が言うことはといいますと。
「コインで決めたらどうかな」
「表か裏で」
「そう、表が出たら毛蟹とかね」
そして裏はタラバガニです。
「こうしたらどうかな」
「そうだね、迷った場合にはね」
「コイントスがいいよね」
「サッカーでPKの順番を決める時みたいにね」
「イギリスの伝統だね」
またこう言ったのでした、先生のお国の。
「それでどうかな」
「そうだね、これ以上考えてもね」
先生も言うのでした。
「決まらないだろうし」
「それじゃあね」
「コイントスだね」
あらためて言った先生でした。
「それで決めようか」
「よし、それじゃあね」
王子はここで、でした。自分のお財布を懐から出してです。
一枚のコインを出しました、見れば王子のお国のコインです。
「このコインを使おう」
「それを使って」
「そう、そしてね」
そのうえでというのです。
「決めようね」
「表でどっちかな」
「それで裏は」
動物の皆は王子に尋ねました。
「どっちの蟹にするの?」
「それでね」
「どっちがどっちか」
「それが大事だけれど」
「そうだね、表が毛蟹でね」
王子はすぐに答えました。
「裏がタラバガニかな」
「それじゃあね」
「今から決めようね」
「そうしようね」
「そういうことでね」
こうお話してでした、王子はすぐにです。
コインを上に投げました、コインはくるくると回転してです、上から下に垂直に上がってから落ちました。そして。
王子の左手の平の上にそれが落ちてでした、王子はコインを右てで押さえました。そして出て来たのはといいますと。
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