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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第五十四話 クロプシュトック侯事件(その2)
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ンシュバイク公が呼んでから三十秒も経っていなかっただろう。近くにいたのだろうか。
ヴァレンシュタイン中将はメックリンガー准将を見ている。すこし面白がっているように見えたけど、どういうことだろう。
「メックリンガー准将は宮中警備隊には居なかったと思いますが?」
「今回は、快気祝い兼戦勝祝賀会ということで規模が大きくなりましたので、小官も借り出されました。黒真珠の間は小官が警護を担当しております」
「そうですか。……この部屋に爆弾、あるいはそれに類するものが仕掛けられた可能性があります」
「! 誰がそのような事を」
「クロプシュトック侯です」
「クロプシュトック侯……、しかし何故です、閣下は御覧になったのですか?」
「いえ、想像です。しかし先ず間違ってはいないでしょう」
「何故そう言えるのです?」
メックリンガー准将は訝しげだ。確かに、何故そう言えるのだろう? フレーゲル男爵は“いい加減な事を”などとつぶやいている。
「クロプシュトック侯は、陛下が御臨席になる前にお帰りになられました」
「それで?」
「侯は陛下が即位される前ですが、弟君のクレメンツ大公の支持者でした。そして陛下を散々愚弄したそうです。そのため陛下の即位後は三十年にわたって冷遇されました。そうではありませんか、ブラウンシュバイク公」
三十年も冷遇されてきた……。
「うむ。その通りだ」
「先日の反乱軍との戦いで侯は御子息を亡くしたそうです。クロプシュトック侯は跡継ぎを失いました。その後です、侯は幾つかの権門にかなりの贈り物をし、陛下や御側近の方々にとりなしを頼みました。そしてこの祝賀会に出席を許された」
「……」
皆言葉を失っている、フレーゲル男爵もだ。中将が言いたい事が段々判ってきたから。
「その侯が陛下が御臨席になる前にお帰りになられた。これは不敬罪として咎められてもおかしくない行為です。せっかく許しを得た侯が何故不敬罪を働くのか、おかしいとは思いませんか?」
確かにそうだ、おかしい。
「……確かに、今度咎めを受ければただではすまない」
「つまりここから離れる必要があったということか」
「ええ」
メックリンガー准将、アンスバッハ准将がお互いに顔を見ながら呻く様な声を出す。二人とも中将の論理を肯定せざるを得ないのだ。
「念のため、クロプシュトック侯が退出したか確認しましょう」
「それと宇宙港を確認してください」
「宇宙港?」
「クロプシュトック侯の宇宙船があれば押さえてください。もし、出港した後なら反逆は間違いないでしょう」
「確かに。すぐ確認します」
中将の言葉に従いメックリンガー准将はすぐさま携帯用TV電話で指示を出し始めた。クロプシュトック侯が退出したのはすぐ確認が取れた。宇宙港はまだ確認でき
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