ep.001 出会い
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その日は春にしてはかなり暖かかった。
およそ1年の訓練期間を終えて晴れて兵士になることができた。
今は"日本国軍館"という大きな建物で入隊式のようなものが行われている。
訓練兵のなかでも首席で合格した1人の青年が防衛省と内閣総理大臣に
訓練兵卒業生として感謝の言葉を述べていた。
そんな言葉を聞きながらボーッとしていると隣の青年が海斗に小声で話してきた。
「なぁ、お前の配属部隊ってどこなんだよ。
ここに入る前に書かれてたんだからどこの部隊かくらいわかるだろ?」
初対面にしてはやけに馴れ馴れしい態度に若干ムッとしたが、
質問には答える。
「日本国第44部隊だよ。」
その解答でその青年と、さらにその隣の青年も反応した。
とくに話し掛けてきた青年は驚いたようで、ニコニコしていた。
どうやら彼らも44部隊なのだろうと海斗は悟った。
すると突然、会場全体に拍手の音が響いた。
海斗を含む3人は少し動揺したが、会場の様子を見て状況を把握した。
首席合格の青年が壇上を降りていくのが見えた。
こうして入隊式は終了した。
その後、海斗たちは部隊ごとに分けられた。
海斗の予想通り、先ほど話し掛けてきた青年ともう1人の青年も44部隊だった。
部隊に分けられて早々に上官のお説教が始まった。
もちろん怒られたのはこの3人だった。
「お前ら、入隊式くらいは静かにしろってんだ。
なんで部隊分けてすぐにお説教なんてしなきゃならないんだ。
勘弁してくれよ........はぁ....。」
お説教にしては海斗が想像してたよりはるかにぬるかった。
ほかの2人も同じように思ってたらしく、また話し掛けてきた。
「お説教ってあんな感じなんだな。
てっきり日本国軍ってんだからムチでぶたれるくらいの覚悟はしてたぜ。」
海斗は薄々、この青年にムードメーカーのセンスがあると感じていた。
初対面の相手にこうも話せるのはよほどのコミュニケーション能力なのだろう。
するともう1人の青年も話し掛けてきた。
「僕もおんなじこと思ってたんだ。 想像よりもずっとシュールだったよね。」
そんな2人とは違って海斗は被害者の立場のような感じでいた。
話し掛けてきたせいで自分も上官に怒られてしまった。
これでは自分の印象が悪くなってしまったと思っていた。
『なんで俺まで怒られなきゃならないんだよ。』
海斗はこれからはコイツらとずっと一緒なんだなと思うと、
先が思いやられるようだった。
すると上官の呼び声が聞こえた。
「おーいお前ら、集合だ自己紹介するぞ。 はやく来い。」
こうして日本国第44部隊が始まった。
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