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魔法科高校の有能な劣等生
愚者
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のは貴方が始めてです」
────フェロモン?
「貴方は私の精神汚染は魔法によるものだと思っていた。
えぇ、確かに私の魔法です。で・す・が、それは正解とは言えません」
俺の鼻元を右手で撫でるように触れ、俺の頬を、額を、髪の毛を左手で順番に触れていった。
「貴方はここに来た瞬間から私の虜になっていた。
貴方は最初から私の掌で踊らされていた。えぇ、それは恥じることではありません。これは仕方のないことなのです。
私の躰は少々、変わっていましてね。
私を見てしまった異性は一種の洗脳状態に陥ってしまうのですよ。
と言っても、それほど強力な洗脳でもなく。ある程度の事なら命令を聞いてくれる程度の洗脳です。
本来なら、その程度の効力しかないのですけど。これに少し、私なりのアレンジを加える事で強力な催眠効果を得られる訳です。
えぇ、本当に私の躰は変わっていますね。
この肉体のそれで、どれほど苦しみ……どれほど嘆いたことやら。
まぁ、それも才能を持つ者の苦悩なのでしょうね。
貴方も、私と同じ境遇で育ってきたと調べで出ていますけど。さて、貴方はどんな人生を送ってきたのかしら?
それは辛く、過酷な少年時代だったのでしょうね……」
淡々と、女は悠長に口を動かすが、それを聴くものは誰も居ない。
無月 影は自身の正気を保たせるので精一杯だった。
ほんの少しでも、気を緩ませればあの女に自身の所有権を全て奪われる。それだけは絶対に死守しなければならない。
────聴覚神経カット。
音は要らない、余計な雑音は全て消せ。
聴こえてくるのは自身の荒々しい呼吸音と心拍数。
最低限の音だけ、それ以外の音は聞き流す。
────視覚……視細胞カット。
脳が見えるもの全ての処理を一時的に止める。
目を閉じたまま視覚を消し、視覚による脳の処理を無くす。
────肌感覚……カット。
全身の肉体を被っている肌の機能を数分の間、停止させる。
今、無月 影は三つの重要器官の信号を全て停止させた。
それは意識的に、無意識に行われた。
目の前の女の魔法……いや、正確にはフェロモンを無力化する為に無意識に影の肉体が導き出した対策法。
────あぁ、これで動ける。
いつ、倒れてもおかしくなかった身体に力を入れ、無月 影は深く、深呼吸する。
……少しずつ、慣れてきた。
これで、この女を??せる。

その時だった。

────dd。

生徒会室に響き渡るノックの音。
「あら、なんてタイミングの悪い」
少し、不機嫌な顔をする生徒会長。
だが、「まぁ、これも運命……ね」と微笑み。生徒会長は扇子で俺を仰ぎ始めた。
すると俺の躰はプツンっと切れた糸のように崩れ落ちた。
掛けられていた精神攻撃の後遺症なのだろう。指先は震え、拳を握ることもままならない
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