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魔法科高校の有能な劣等生
愚者
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「どうでしょう、この機会に成り上がってみては?」
魔女の様な表情で生徒会長は俺を誘ってきた。
挑発……見え見えなんだよ。
「ランク付けウィークでしたっけ、俺は別に成り上がるつもりはありませんよ」
「あら、貴方はその立ち位置で満足ですの?」
「満足……ではありませんね。ですが、不満はありません」
「変わり者ですね、貴方ほどの魔法師が底辺で居座りそれを受け入れるなんて」
「別に受け入れてはいません。ただ、自分にはお似合いな称号だと自負してるだけです」
────ある意味、間違ってはないからな。
俺は愚かでどうしようもないクズだから与えられた称号【愚民】を受け入れている…認めているんだ。
「とにかく俺は上に興味はありません。
ですので失礼します」
このまま会話を続けても無意味と判断し俺は立ち上がる。
「────それではつまりませんわ」
突如、異様な寒気を感じた。
「それでは駄目、駄目なんですよ」
一歩、また一歩と生徒会長は足を進め。
「これから始まるショーが主役抜きでは華がないですわ。
貴方は最後までステージの上で踊って頂かないと困ります」
「それは、貴女の都合であって俺には関係のないことです」
「そんな事はありませんわよ、影君。このショーは貴方の為だけに始まり、貴方の為だけに終わりを告げるのですから」
「…………?」
何を、言っているんだ?
こんな茶番に付き合う必要はない、早くここから立ち去るべきだ。
それなのに………俺は奴の言葉に耳を傾けていた。生徒会長の言っていることの半分以上は嘘、偽りであるだろう。なのに、俺はその場に立ち尽くしていた。
歩み寄る生徒会長、距離を置こうとその場から離れる。
逃げるように、じりじりと。
恐怖は感じない。なのになんで俺は震えているんだ?
「おや、どうされました?
顔色が優れませんわよ?」
「――――――」
確信した。
これは『精神汚染』だ。
「………」
「先ほどまでの威勢はどうされました?
随分と静かになられましたわね」
「会長………何を?」
俺はこの生徒会室に入る前に全身をサイオンで覆っていた。
生徒会長の魔法は他者に自身のサイオンを干渉させ、人間の五感を狂わせる魔法。なら、そのサイオン波を自身のサイオンで干渉をジャミングすれば防げる……筈だった。
「さぁ、貴方の全てを私に見せなさい」
誘惑する瞳────俺は完全に会長の魔眼に取り憑かれていた。
拒否する事の出来ない、命令が下される。
「あっ」
口が、言葉が、勝手に漏れようとしている。
必死に口元を手で塞ぎ、口を閉じさせようとするが無駄だった。
「ふふっ、意外と耐えますね」
俺の滑稽な姿を見て微笑む生徒会長。
「私の魔法……いえ、正確にはフェロモンに近いものですけど。ここまで耐えた
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