第4話『スタート』
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ジで皆引いてないよな?
不安気に辺りを見回した俺に向けられたのは、他の人の自己紹介の時にも送られた、拍手。
失…敗では無いな。成功とも呼べないが。
何で自己紹介でこんなに疲れなきゃならないんだよ…。
「はは。三浦君、緊張し過ぎだよ」
山本が笑いながらそう言った。
やっぱ悪魔だろこの人。人の恥態を抉りやがって。
だが次の山本の言葉で、俺の偏見は脆くも崩れ去った。
「もうちょい気を楽にしてごらんよ。君のことを誰も『変な奴』だなんて思っていないのだから。君は『クラスメート』。自信を持っていましょう」
その言葉に、俺は身震いした。恐怖では無く、感動に近い感覚と共に。
俺の目線は山本に釘付けとなった。先程まで悪魔と思っていた人から聴こえてきた天使の囁き。
山本の『格言』が俺の心へと突き刺さった。
そうか、そうだったのか…。
恥ずかしいだなんて、ただ俺が思っていただけなんだ。他の人は俺を『クラスメート』と思っていただけなのに。俺はそれがわからなかったんだ。
俺は何を恥じたんだ? 恥ずかしい事でもしたか?
違うな。俺は自分の勝手な妄想に閉じ籠っていただけなんだ。現実から目を逸らして・・・。
「何だこの人・・・」
俺は山本という人がより一層わからなくなった。
ある時は憎まれ、ある時は敬われ、一言で人を変える。
何だか不思議な力を持っているかのようだ。
「私は山本。このクラスの担任で、この学年の主任でもある。よろしくね」
「「「よろしくお願いします!!」」」
クラス全員の声が被る。もう慣れたという証拠だな。
シンクロとかいう感じで。
「さて、自己紹介も終わったので連絡を始めますよ。1つ目は・・・明日のテストについてです」ニコッ
「明日!!!?」
自己紹介が終わりホッとしたのも束の間、山本による連絡は俺たちを奈落へと突き落とした。
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