第4話『スタート』
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時刻は午前9時30分。
俺は教室の一番後ろの窓際の席に座り、窓からの風を顔で感じていた。いわゆる、特等席である。
俺のクラス『1ー1』は、新入生30人の教室であり、今は友達作りかなんかで、何かと盛り上がっているようだ。
……主に、俺の周辺で。
「ねぇねぇ、三浦君ってどこ小から来たの?」
「というか何であんなことになっちゃったの?」
「何かしたの?」
クラスの大半の女子に質問攻めに遭う。もちろん好意からではなく、ただの興味本意ということは俺にもわかる。
傍から見れば、たくさんの女子が一人の男子を取り囲んでいるという、男子は羨ましがるような光景なんだろうが、俺からすれば地獄みたいなものだ。
なんせ、俺のようなコミュ障にとって、そもそも人に話しかけるのはまず無理。なら、話しかけられるのは良いのか?と言うと、それは状況に寄る。ちなみに、今の俺の状況は“無理”の方だ。
よって俺は、恥ずかしいというよりも、ただただ挙動不審になっていた。
「まぁ色々ね…」
結局、俺の口から出てくるのは適当な誤魔化しと愛想笑い。
なぜこんな目に遭うハメになったかと言うと、話は1時間前に遡る・・・
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バン
勢い良く体育館の扉を開けた俺だったが、得意気だった気持ちが一変、たくさんの視線を感じて羞恥が込み上げてくる。
そうだった。ここは入学式の会場だ。そりゃ当然新入生たちも保護者たちもたくさんいる。そんな中、いきなり扉をバンと開けたならば、気になって皆振り返るに決まってるのだ。
あまりの恥ずかしさに顔をうつむかせながらその場に立ち尽くす俺。
すると目の前に手が伸びてきた。
反射的に顔を上げると、最初会った時の様な穏やかな顔をする、山本の姿があった。
「よく頑張ったね。おかえり」
その山本の声と同時に新入生達の盛大な拍手が、俺に向けられた。
「へっ? どういうことですか?」
相も変わらず状況が読めない俺は、マヌケな声を出して問う。
「フフフ」
山本が穏やかに笑う。しかし、その声は俺に恐怖を煽らせるだけだった。
なぜ?
ツッコミどころが多過ぎて、俺の思考は早くも停止した。
「説明が必要かな?」
「はい…」
山本の問いに、俺は声を絞り出して答える。
そしてこの後に聞いた山本の話は、とても突飛な話だった。
まず、俺は監視をされていた。山本に、ではなく、ここにいる人全員から。体育館前方にスクリーンが用意されていて、それで俺はモニタリングされていたよ
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