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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
2-2 運命の出会い
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浅草・花やしき遊園地。
ここは帝都やその付近で暮らす人々が訪れ、ひと時の時間を楽しむ夢のような遊園地。だが、この花やしきもまた、世を忍ぶ仮の姿。
その実態は、『帝国華撃団・花やしき支部』。本部とは別に設置された別支部なのだ。
この遊園地の地下には、巨大な格納庫やラボが存在しており、そこである二人の女性が研究室にて話し合っていた。
「巨大な降魔が現れて、マリアはんたちの力でも敵わんかった…ちゅうことですな」
「ええ。そういうことになるわ」
二人の女性のうち、後ろ髪を二つの三つ編みに結った紫の髪に、眼鏡をかけた女性が試験管を片手にため息を漏らした。もう一人の、茶色の髪に米田と同じ模様の軍服を着込んだ女性が腕を組んで頷く。
「うーん、普通の降魔やったらまだよかったんですけど、その馬鹿でかい降魔が相手となると…」
光武では戦うことさえも難しい。試験管からビーカーに液体を移す。
すると、ボン!!試験管から小さな爆発が起きて、紫の髪の女性は髪形がめちゃくちゃに崩れてしまい、顔も汚れてしまった。
「あら、大丈夫?紅蘭」
「あかん…またやってもうたわ」
その紫髪の女性こそが、椿がジンに話していた『李紅蘭』である。ここで技術者としても働いているのだ。紅蘭はすぐに顔の汚れを塗れたタオルで洗う。
「あ、せやあやめはん。さっきの続きなんですけど、光武の調整は今の倍以上に行ってみます。したところでその巨大な降魔と戦える力を光武に与えられるとは思えへんけど、何もせんよりはマシでしょうし」
あやめ、と呼ばれたもう一人女性。
彼女の本名は『藤枝あやめ』。彼女も帝国華撃団の一人で、年若いが『副司令』という地位にある。
「ごめんなさいね。あなたほどの技術師ってほとんどいないのに…」
「ええですってあやめはん、うちは機械をいじるの大好きなんです。寧ろ願ったり敵ったりですわ」
眼鏡をかけなおしながら、紅蘭はあやめに屈託のない笑みを見せた。
「にしても気になりますな。その巨大な降魔を倒したっちゅう…赤い巨人」
すると、紅蘭は赤い巨人について興味を示してきた。
「一体何もんやろ。いきなり現れて、降魔を倒して颯爽と姿を消すなんて…街で子供たちの間で流行っとる『少年レッド』みたいや。こっちの方でも子供たちの噂になってたほどやし」
少年レッドとは、帝都の子供たちのためにある中年の紙芝居師が朗読する勧善懲悪ものの紙芝居である。いわゆるレッドという少年が活躍するヒーロー活劇だ。その少年も颯爽と現れて、悪党を懲らしめて颯爽と姿を消す。例の赤い巨人がそのレッドと重なって見えたのだろうか。
「…」
それを聞いて、あやめの表情に曇りが生じたが、紅蘭はそれに気づかない。あやめは赤い巨人のことを考えていた。
(…彼が目を覚ましたことは、当日米田さんから聞き及んでいた。でも、
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