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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
2-2 運命の出会い
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まぁ、無事だったからいいさ。しかしこの状態じゃ花見をする気にはなれないな…」
加山は、現時点での上野公園の状態を確認する。さくらの木々がいくつか折れてしまい、屋台もめちゃめちゃだ。彼の言うとおり、これ以上花見はできそうにない。
「仕方ない。大神、俺たちでこの親子を送っていってやろう」
「そうだな…わかった」
大神は加山からの提案を了承し、トラとおクマの親子を二人の実家へ送り届けることにした。
「そうだ、最後に君たちのことを知りたいんだが、かまわないかい?」
できれば、危ない目にあっている子供を勇敢に救った彼らとはゆっくり話をしてみたかったが、時間が惜しい。大神はせめて名前を聞こうと思ってさくらたちに自己紹介を求めた。
「あたしは、真宮寺さくらといいます。仙台からこちらにやってきました」
「僕は……ジン、といいます」
「さくら君に、ジン…?苗字は?」
「…『米田』です」
記憶がないとはいえ、仮に付けられた苗字はまだ慣れていない様子のジンは、少し間を置いてから、自分の今の姓が米田であることを告げた。
「え、米田って…もしかして…!」
米田と聞いて、さくらはあ!と自分が何のためにここに来たのかを思い出したと同時に、ジンの苗字が…自分を帝都に呼び出したあの人物と同じであることに気づく。
「あの、さくらさん。そのことは後で…」
それ以上は帝劇の秘密に触れることになる。その話は後にしてくれと椿はさくらに耳打ちした。
「あの、あなたの名前は?」
今度は、ジンが大神に尋ねる。
「俺かい?俺は、『大神一郎』。じきに海軍士官学校を、この加山と一緒に卒業する身だ」
「うんうん、嬉しいぞ大神。俺も一緒にこの麗しいお嬢さんと勇敢な少年たちに紹介してくれるなんてな。やはり持つべきは親友だなぁ…」
自分も紹介してくれたことに、親友に感謝しながら加山も自己紹介した。
「ご紹介に預かった『加山雄一』だ。覚えておいてくれ。そうだ、そちらのお嬢さんは?」
「え?私ですか?」
いきなり加山から話を振られた椿は目を丸くして驚きをあらわにした。
「そりゃ、一人だけ仲間はずれってのも気まずいからな」
「えっと…私は高村椿といいます」
少し恥ずかしげに、椿も自己紹介した。
「椿ちゃんか、いい名前だ。覚えておくよ」
「大神さん、加山さん、そしてジンさん…今日は助けてくれてありがとうございました」
「ああ、ではまた会おう」
さくらからお礼を言われ、大神も笑顔でうなずく、そして加山と共にトラとおクマの親子を連れて上野公園を去っていった。
「大神さん、か…」
見送りながら、ジンは呟く。
軍人だからかなり頭の固そうな人名のではと思ったが、見るからに人のよさそうな男だった。自らさくらや子供を助けるために飛び出すことから、強い正義感を持ち合わせているに違
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