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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
2-2 運命の出会い
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すぐにトラに逃げるように言ったさくらだが、彼は怪蒸気に向かってさらに石を投げつけていく。無論たかが投石程度で倒れる相手じゃない。少年は、母を傷つけられた怒りを怪蒸気にぶつけ続けていく。怪蒸気は遂にトラをうっとおしく感じたのか、彼に向けて刀を振り上げてきた。トラも母を傷つけられた怒りを、怪蒸気から放たれる威圧感で消し飛ばされ、怖気ついて腰を抜かしてしまった。
「あ、うああ…」
「たあああああ!!」
さくらはすぐさまトラの前に駆けつけ、刀を盾代わりにかざし、怪蒸気の刀を受け止めた。
ガキン!と耳鳴りのように伝わる金属音が、さくらと怪蒸気の互いの刀がぶつかり合うと同時に鳴り響く。
「は、早く…!!」
さすがに、怪蒸気の力は強かった。さくらでも刀で受け止めるには無理があり、今にも押し返されそうになる。さくらはトラに早く逃げるように言うが、トラは恐怖のあまり立つこともままならず、さくらの声も届いていなかった。
このままではまずい。押し返される。
(お父様…!)
目を閉じ、何とか踏ん張ろうとするが、もう限界だった。
だが、そのときだった。

「そこまでだあああああああ!!」

「え…!?」
若い男たちの声が、さくらの耳に入った。目を開けると、白い軍服の青年とモギリ服の少年の二人組みが、自分たちのいる方角へ走ってきている姿が目に映った。
白い軍服の青年…大神は腰にしまっていた銃を取り出し、さくらとつばぜり合いを展開している怪蒸気に向かって発砲した。
そのとき、さくらは大神の姿に強い何かを感じ取った。さくらの目に映る大神の体から、何かオーラのようなものがほとばしっているように見えた。
(今のは…まさか、『霊力』!?)
さくらが驚きを見せているのもつかの間、銃弾がさくらの前の怪蒸気の体に突き刺さっていく。大神の銃撃を受けたその怪蒸気は、体中から煙を吹きながら倒れた。
「大丈夫かい!?」
さくらの前に来たところで、大神はさくらに声をかける。
「は、はい!」
「その子を連れて先に行くんだ!」
「で、ですが…!」
自分も戦ってこの子や帝都の人たちを守りたい。強くそう思っていたさくらにとって、子供の安全のためとはいえここで敵に背を向けることはあまり好ましく思えなかった。
迷う間も与えまいと、さらにもう一体の怪蒸気が三人に迫ってきた。そこへようやくもう一人…ジンが駆けつけてきた。
「この子は、僕が運びます!」
「す、すまない!助かる!」
大神は突如姿を見せたジンに少し驚きを見せたが、すぐに礼を言い返した。
「さ、君。こっちへ!」
ジンはトラを担いで、すぐにその場を離れようとする。しかし、そんな彼らを逃がすまいと、残ったもう一機の怪蒸気がジンの前に立ちふさがった。
「いけない!」
さくらがすぐにかけつけようとするが、大神と
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